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12ハウスについて(The 12th House)

Tyl HP Counseling Insights January 30, 2000


占星術の学習上非常に難解とされる12ハウスについて、著書「The Creative Astrologer」189〜190頁に記述がありますが、これを短くまとめた洞察をいくつかここに記します。

アセンダントに向かう主要なトランジットにより構築される影響力に特に注目すると、12ハウスには調整(修正)のために準備するという意味合いがあるように思います。成長(発展)の背景として、冥王星はどのハウスを通過する際にも、個々のハウスの重要な属性を活性化させます。それは、特定のハウスの体験領域の範囲内に描かれる背景についての考察をかき乱すものです。長期に渡り12ハウスに滞在したのちアセンダントに出てくる冥王星は、内面の刷新を喚起するために霊的もしくは宗教的に教授された、これまでと異なる次元の感受性の収穫を強調するでしょう。「来年の夏(トランジット冥王星がアセンダントに来る時)に向けての重要な取り組みに関する明確な予感が今あなたにあると思いますが、それについてどんなふうに感じていますか。また、それはあなたをどこへ導くと思いますか?」

出生図の12ハウスの冥王星は、圧力のかかる状況における「世間は私を理解していない」という防衛的姿勢を暗示します。これは自分の人生を自分でコントロールできない立場の者の、感情面に特化した戦略としての嘆きであることが多いです。そのような永続的な姿勢(あるいは当人の人生の展望を明確に定義する他の何らかの姿勢)が人生初期の家庭生活の主要な変化期に確立されていませんか? 顕著なアークである 冥王星=アセンダント を確認してください。また同時期に起こる主要なトランジット(たいてい存在します)の動きにも注目しましょう。忘れてはならないのは、アセンダントは派生ハウスとして見ると親に関する4ハウスカスプやMCになること、そして当然ながら、子供はある意味完全に親の決定のもとに生きている、ということです。

火星が出生の12ハウスにある場合(アセンダントとのオーブが8度以内なら特に)、戦い・反逆・内在する怒りを私たちは即座に予期します。8度というのは、人生初期に形成される成長の過程から注意がそれないように任意に設定した境界です。生まれてから8年以内に、アークの火星がアセンダントにコンジャンクションします。もちろん、もっと後にコンジャンクションする(12ハウスの入口付近に火星があるなど)場合もあります。この天体配置は、12ハウス・9ハウス領域の強調を説いたゴークラン研究を改めて評価できる個人の重要な発達上のポイントであると私は信じています。つまり、個人の発達において、アークの潜在的可能性がケーデントハウスから出ることは、その後の人生体験を強く特色づけることにつながるのです。アークがアングルを通過する際には特に、システム(組織、体系)に大きな影響を与える種が蒔かれます。

火星はどのハウスを支配していますか? そのハウスの緊張状態は怒りの源になっているでしょうか。アークの火星=アセンダントの時期は、成長過程の体験にどんな重大性をもたらしたでしょう。その火星が1ハウスに出てくるのと同じ年に他のアークがありますか? それらはどのように相互作用するでしょうか。その時期の主要なトランジットトリガーは何でしたか。これ(怒りの問題)について、どのようにクライアントに尋ねたら良いでしょうか。

12ハウスからアセンダントに降りてくるアークの海王星:どんな種類の抑圧が起こる可能性がありますか?それは家族のどんな側面に起因するものでしょうか。海王星はどのハウスを支配していますか。そのハウスのテーマは、例えば5歳の時(5度のアーク)に心に刻まれた、壊滅の感覚の根源でしょうか。

天王星のアセンダントへのアーク(もしくはアセンダントへの天王星のトランジット)は、ホロスコープ内の特徴が「自己主張」に反応しやすい時期を示します(通常、親密な関係に挑む配置です)。人生初期の転居(があった場合)は、個人的な発展に対してどんな影響を与えましたか? それは新しい機会を広げましたか。もしくは逆に非常にスムーズに進む予定であった何かを壊滅させはしませんでしたか。この時、友達グループとの結びつきはどうだったでしょうか。また、この「断絶」に関する誇張された壊滅パターン(例えば軍人家庭の子供)の考察が明らかになるとして、それは7ハウスへのアスペクトに関係しているでしょうか。見棄てられることや、非永続性に関するコンプレックスが形成されていないでしょうか。

人生初期、特に自我意識や言語能力の確立以前の生活上の緊張状態は、しばしば「病気」に焦点化されます。アセンダントとのコンジャンクションがタイトなほど、人生早期の身体的危機の可能性の確度は高いと言えます。コンジャンクションが極端に緊密な場合、当人の出生前もしくは出生時点で両親が離別していたり、出生時に家族が非常な緊張状態にあることがあり、この配置はしばしば養子縁組などと相関する傾向も見受けられます。出生図は両親の人生のトランジットの記録であるということをどうか忘れないでください。

12ハウスルーラー、もしくは12ハウス在住天体が形成するクインデチレアスペクトは、天体の種類に関わらず、人生後期の病気の形成過程の暗示となることがあります。クインデチレアスペクトを形成する天体は、どのハウスを支配していますか?天王星が関わっていれば、個性化を目指す闘いの強調が見られます。成長過程において、闘いを引き起こすものとは何でしょうか。なぜそのような「苦闘」の可能性があるのでしょうか。母親との「競争」はありませんか(女性の出生図の、冥王星−月のスクエア、コンジャンクション、オポジション)?母親によって握り潰されたものがありませんか(男性の出生図の、冥王星−月のスクエア、コンジャンクション、オポジション)?個性開花の可能性を妨げるものはありませんか(冥王星−太陽のスクエア、コンジャンクション、オポジション)?またノード軸が、地平線上や母親の影響力を示す他の強力な位置にありませんか?

12ハウスの金星は、プライベートな(ひそかな)美的感覚の表示です。楽しみや様々な達成感などを、それはどのように邪魔していますか?あなたにとって、充足感を得ることはなぜそんなに困難なのでしょうか。他者にそれをどう説明しますか?もしあなたが上記のような悩みを感じていないとしたら、この金星の傾向はあなたの中でどのように処理されているでしょうか?水星もしくは太陽が金星の近くにあれば、理想主義の傾向があるでしょう。その理想主義は、何に対して防衛的ですか。2ハウスの状態、特に2ハウスカスプの支配星の状態はどうでしょうか。

12ハウス在住天体とMCとのスクエアアスペクトを見つけたら、親にまつわる問題の考察と関連させるだけでなく、12ハウスで圧迫されている「達成欲求」のはけ口を職業面に見出せるかどうかについて考慮してください。

12ハウスの月は、裏方を志向しやすい傾向を推測させます。コンサルタント的な姿勢、活動の舞台から一度外れたほうがリラックスしやすい人です。そう予測できるのはなぜでしょう?感受性が非常に深い憂うつの色彩を帯びているのはなぜでしょうか。

12ハウスが重大な病の鍵となることには、疑いの余地はありません。12ハウスと、健康の中枢としてのアセンダントは、他のハウスや天体に比較して、重大な病に深く明確に関わっています(出生、トランジット、アークの冥王星と共に)。重大な病は、生まれた時から始まる成長過程の「欠損」の蓄積によって引き起こされるものと言えるでしょう。

-- さらに多くの例が存在します。上記は、個々のカウンセリングの成功をサポートする目的で書いた著書「The Creative Astrologer」で詳述した約700組の主要な創造的結びつきのほんのさわりに過ぎません。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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