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歳月、精神的緊張、そして変化(Time, Tension, and Change)

Counseling Insights 3/31/05


占星家は常に全体論的な見方を心がけなければなりません。もしこれまでの人生でたいした出来事が起こっていないのなら、これからも重要な出来事の発生の見込みは少ない、ということをクライアントと共有し、それを本人に認めてもらう姿勢を占星家は保つ必要があります。染み付いた「パターン」に本人が気づかない限り、占星家を訪ねたからといってクライアントの人生パターンが変化するということはありません。

よく知られるように、全体論的に見て過去は現在を形成し、未来を左右し、刺激します。この理解は自分を客観視することにつながり、客観化と感覚の「再調整」を通してたどり着いた複数の資質のバランスの中から人生に対する戦略が生まれてきます。

防衛、罪責感、および過剰補償のパターンは重圧となります。未来に向かう私たちに負担をかけるものです。歳月を通してそれらは私たちを圧迫し、意気消沈させます。身体の姿勢までが重荷を映し出します。[自分が落ち込んでいる時の歩き方が、普段といかに違うか確かめてみてください]−私たちは気づきを得て、憂うつの源泉から解放され、活動の準備をしなければなりません。その過程は精神的・肉体的・霊的に促進されるべきです。まず私たち自身がそれを心がけましょう。そして、クライアント各々の同過程を手助けしてあげてください。

時間の流れ、緊張状態、変化の過程を説明する分かりやすい例として、太極拳の肉体−精神連動の動作を採用してみましょう。−「自分と同じ動作をしてください」とクライアントに依頼してください。ばかげたエクササイズのようでも、それは重要な本質(原理)を伝えるものだと説明してください。

あなたの両腕(肘から手までの部分のみ)を垂直に肩の前に上げ、手首をくにゃっと曲げ、その状態を維持してください。肘は脇腹のすぐそばに来ているはずです。手首は肩の高さの辺りにあり、前方にぶら下がっています。クライアントと2人で同じ動作をしています。

その「姿勢」を保ちながら時間を過ごす苦痛を紛らわすために、いつの間にか定着してしまったふるまいのパターン(実際はもう必要でなくなっても安易に継続され、クライアントのエネルギーを消耗させた「強固な防衛」)が持つ影響力の大きさについてクライアントに話してください。−30秒も話せば充分です。

次に、両腕(肘から先)の垂直軸に優美に沿うように手のひらを持ち上げてもらいましょう。占星家もクライアントと一緒に行ってください。手が上がれば、手首の関節は大変な救いを感じます。本来の自由な感覚を取り戻し、いつでも行動できる「体勢」になりました。

手首には明らかに重力による負荷がかかっていました。 直角(の角度)は身体に吸収される成長過程の緊張(象徴としてスクエアアスペクト)でした。両手を上げることで、防衛的なうつ状態のエネルギーから解放され、活動を開始する覚悟が決まりました。「憂うつのエネルギー」が「生産力」に転換されたのです。これは限られた時間の中での変化を通して起こったことです。クライアントはこの過程を心で理解し、身体で実感しました。

緊張状態は、自分を行動に駆りたてる警報として重要です。太陽に届きたいと願って伸びていく植物の根が土に埋もれた岩石を押すように、それは成長する力を与えてくれるものです。

成長と変化が時の流れを作ります。限りある時間の中、私たちは挑戦と緊張、解決と平和の時節を通して絶え間なく進化します。そして、人間(の在り方)に求められる新しいレベルを目指し、私たちは歩み続けます。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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