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「反応」を促すキーフレーズ(Key Catalytic Phrases)

Counseling Insights 11/30/06


カウンセリングは、現状がどうあるかを説明することが目的ではありません。クライアントの成長(発展)を理解し、それを促進するため私たちは日々努力しています。カウンセリングとは成長のきっかけを与えるものです。

クライアントに「発展の計画」への気づきと心の変化をもたらす、いくつかのキーフレーズを思い出してみましょう。

「その(幼少期の)境遇から現在まであなたが進歩させたものは何だと思いますか?」
例えば、あなたのクライアントが11歳だった 1974年8月〜11月という特定の期間について、あなたが質問するとします(アークとトランジットが性的虐待の可能性のある期間を表示しているとします)。そして、父親からのひどい性的虐待が実際にあったと、あなたのクライアントが認めたとします。あなたはクライアントの口調や、その苦境をどう切り抜けたか(精神療法の利用など)の詳細を省いた本人の説明から、虐待の事実を確認することができるでしょう。私たちは正規のセックスセラピストでなく、それ(性的虐待)はカウンセリングの論点でもありません。しかし、成長過程における重要な出来事なので、占星家はその件に対応する必要があります。

その辛い出来事がもたらした真価をクライアントが認識すること、そして、厳しいその時期から離れて自身の成長(発展)の流れに戻ることがカウンセリングの目的です。「その(幼少期の)境遇から現在まであなたが進歩させたものは何だと思いますか?」−これは最も有効な質問です。占星家は、出来事についての感情的評価に囚われてはなりません。クライアントがその出来事をどう管理しているかを知り、それを恋愛(対人)関係の考察に関連づけましょう。

「なぜそのことがそんなに重要だったのですか?」
死に関する認識の調整が、大家族の中で起こったのではないかと明確に推測される状況において、「ええ、それは私のおじが亡くなった時です」とクライアントが答えたとします。表面的には、9歳の時のおじの死は通常、ホロスコープに表示があったり、クライアントの強い応答を引き起こしたりすることは少なく、個人の成長過程の重大事項にはあまり適合しません。このため、私たちは「なぜそれがそんなに重要だったか」 を知る必要があります。

言い換えれば、出来事自体を重視するのではなく、その出来事にまつわる価値観に焦点を当てる、ということです。そのおじが少年にとって父親のような存在であった、ということをあなたは知るでしょう。−なぜなら彼の実の父親は、父親らしい存在ではなかったからです!。祖母やおばの死についても、同様の案件は存在するでしょう。その死がなぜそれほど重要であったかを知ることで、家族力学(の発展)に関する多くのことが明らかになり、占星術の天体配置は確証を得るでしょう。

心配事は現状にもあるかもしれません。死の問題に向き合うことになる可能性(8ハウスの状態から)が近い将来に表示されているとしましょう。「あなたの家族に、どなたか重い病気で死に瀕している方がいますか?」..おそらく、おじもしくは祖母、と1人を特定する答えが返ってくることでしょう。「今のあなたにとって、なぜそれがそんなに重要なのですか?」−私の父は、私にとって父親と呼べる存在ではありませんでした。 しかし、おじは父親のような存在でした。そして私はこのことを決して忘れないでしょう。そして、遺言の中でおじが私の名前を強く挙げていることを私は知っています。−[これは非常に重要で戦略的な情報です]

「これを理解するのをどうか手伝ってください」−この語りかけは、現状についての説明をクライアントに促す効果があり、実は必ずしも私たち占星家の理解ではなく、クライアント自身の理解を触発するものです。

「理解を手伝ってください」という語りかけと、それに続く短い会話は、おそらく様々な異なる理解や新発見をクライアントにもたらすでしょう。事情を占星家に説明することは、自分自身に改めて説明することにもなります。この過程で、おそらくクライアントは新しい光を見出すのでしょう。

「この状況(場面)において、自分自身の内面にあなたの母親(あるいは父親)の影響を感じますか?」
クライアントの実生活において、当人に不利益となるような(振舞いの)パターンが存在し、それに気づいたあなたが当人のためにそのパターンを明らかにしたい、と思うとします。それは例えば、母親や父親の振舞いの反復的模倣かもしれません。どうぞシンプルに「この状況(もしくは色々な場面)において、自分自身の内面にあなたの母親(あるいは父親)の影響を感じますか?」と尋ねてみてください。

きっとあなたのクライアントは驚くでしょう。クライアントの内面では、自己認識についての客観が起こっています。これは、強い精神的緊張を伴う問題をカウンセリングで扱う際の、非常に重要なポイントです。この客観によって、クライアントが得るものは非常に大きいと思います。

「今後12ヶ月〜18ヶ月間のあなたはどんなふうである(何をしている)と思いますか?」
駆け出しの占星家や、知識の不十分な占星家があまりに頻繁に犯しやすい誤りは、天体(の影響力)がクライアントの成長(発展)や実体験とは無関係に作用すると考えることです。−「○○のトランジットは、「△△」や「□□」をしようとしている」−もちろん、これは完全に間違ったアプローチです。天体は何もしません。事態を発生させるのは「人」です。そして、周囲(の環境)の協力も必要です。

占星家がクライアントに向ける最も良い質問とは、「今後12ヶ月〜18ヶ月のあなたは、どんなことをしていると思いますか?」 ではないかと思います。−この質問は、クライアントの現実(クライアントが知っていたり、もしくは望んでいる現実)において、当人が実行可能な事柄や成長に関する展望作りを促します。この質問は、クライアントを成長のプロセスに参加させるものです。

加えてこのことは、占星家がカウンセリングの準備段階で作成した現在と近未来の時期表示を、クライアントの現実に蘇らせることを可能にします。

人生体験の中で起こり得そうな事柄は、天体配置に鮮やかな焦点をもたらします。現象化するかどうかの「勝算」は、常識のレンズを通して考えます。もし占星家が「それについて私はホロスコープのこの点から予測できます。就職面接を受けたのは、先月の24日か25日ですか?」と言ったとしたら、クライアントは新しい仕事の展開のシナリオについて、確証を得るでしょう。予測の確かさ、もしくは不確かさの「重み」は、近い将来の予測の信頼性に振り替えられます。(通常アングル、もしくは展開(発展)しつつある問題を示すハウスの支配星に対する強く明確なアスペクトにタイミングが示されます)。

上記のような質問なしには、クライアント個人の領域から全く離れたところで「何が起こるか」を考える、味気ない教科書定義に縛られてしまいます。

「もしも○○だったら」。このフレーズは、代替手段を明らかにする質問へとつながります。それは非常に強力です。「Counseling Insights (2003/6/30)」と、著書「The Creative Astrologer」をぜひ参照ください。

以下の3つのエッセイで、占星家−クライアントの相互作用の技法を扱っています。7/15/1999、10/29/2002、12/30/2002にアップした3本です。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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