HOME > ESSAY > COUNSELING INSIGHTS

成長過程の質問に誘導する(Leading Developmental Questions)

Counseling Insights 4/30/07


今回のエッセイは、8年間(「Counseling Insights」だけでも86本のエッセイがありますが、他の部門も含めて)の中でもかなり重要なものの一つです。このウェブサイト開設時に最初に掲示したエッセイも今回と同テーマでした。アーカイブの「The Art of Questioning (1999/1/15)」を探してみてください。また「The Surprising Question (2003/11/30)」も参考になります。−カウンセリング技術についてのさらに奥深い内容は、著書「Creative Astrologer」の中に明確に記しています(サイト内の「BOOK LIST」を参照ください)。

カウンセリングを進める際、占星術が担う作業の大部分は 「効果的な質問」を土台としています。それは、占星術的な指針とクライアントの現実体験や価値観の概念とを関連させる助けになるものです。有益な会話という知的な刺激がないと、古風で類型的な占星術解説に終始してしまう危うさを私たちは抱えています。宿命論の説教でクライアントの個性(の認識)を制限してしまう事態を避けるためにも、質問は必要です。

私が膨大なカウンセリング体験から作成した、重要かつシンプルな8つの質問をここに記します。各々の質問が1つ以上の目的に役立ち、またカウンセリングでの対話を豊かに発展させるものです [Key Catalytic Phrases (2006/11/30) もぜひお読みください]。

1.「おそらくあなたがX歳だった年の夏に起こったと思われる、この家族の重要な成長(発展)とはどんなものでしたか?」−「この」という言葉に注目してください。この問いかけは、ホロスコープがそれ(家族の重要な成長)を示していることを指摘するもので、情報を得るための根拠のない「探り」では決してありません。この質問を支持する時期表示の中に、アングル(特に子供にとっての家族状態を示すMC)や、アングルの支配星(特にMC支配星)に対するアークまたはトランジットが含まれることは明白です。人生早期の 太陽/月に対する主要なアークやトランジットもこれに付加されます(太陽と月は人生初期における両親のシグニフィケーターです)。経験を積むことで、占星家はクライアントの現実の詳細をより明確に予測することが可能になります。

2.「それはなぜ重要だったのでしょうか?」
例えば、「おじの死」を、強いアークやトランジット(特にアセンダントに絡む土星、冥王星、海王星)の作用を確証するために引用したとします。この質問は、例えばクライアントにとって、おじは実の父親ではないが「(クライアントにとって魅力的な)父親」として存在していた、というような価値に関する応答を誘引するでしょう。

3.「その(幼少期の)境遇から現在まであなたが進歩させたものは何だと思いますか?」[「Key Catalytic Phrases (2006/11/30)」をぜひお読みください]
これは最も重要な治療上の質問のひとつです: 気づかぬうちに衰弱させられたり、トラウマになる可能性もある体験といかに闘い、いかに消化した(もしくは消化できなかった)かを明らかにします。クライアントはその体験に対処し、自身の人生にそれを据えました。解釈を明確なものにするために、私たちはそれ(トラウマ的体験)をクライアントに表現させる必要があります。

4.「○○を心配していたのはなぜだと思いますか?」
この問いは、クライアントを脅かさないカウンセリングという話し合いの場で、難しい要素(本質)を浮かび上がらせ、明るみに出します。なぜ「脅かさない」かと言えば、それは問題に対処できるからです。クライアントの一時期の不安定(不穏)の詳細(例えば引っ越しにまつわる心配など)を、私たちは尋ねなければなりません。そしてそれらの心配を、過渡期の終焉にもたらされる価値や変遷の目的に建設的に関連させてください。「あなたが○○なのはなぜだと思いますか」という質問は、苦しみに包囲された自我から焦点をそらす、有効な「緩衝材」でもあります。

5.「このような緊張に対するあなたの対処法は、あなたの母親/父親の物事の対処法をどのように反映していますか?」
人生早期にモデル化された両親の行動パターンの「模倣」を、私たちはいつでも探さなくてはなりません。そのパターン化した行動が問題になっている場合には、認識することが自身の振舞いを客観視し、修正し、変化へと向かう重要な1歩となります。

6.「非常に防衛的で内向的(自己批判的?)な行動パターンが見られる原因は何だと思いますか?」
これは、顕著な東半球の強調やグランドトラインの形成、2ハウスの緊張状態からそのような行動パターンを仮定した質問です。クライアントがその「自己姿勢」について百も承知であることが前提のため、占星家との守秘性ある(信頼できる)開示的カウンセリングの場での、問題についての有益なやりとりにクライアントを導くでしょう。その行動パターンがどのように展開(発達)したのか、自己保身のためにエネルギーを確実に浪費するのはなぜか、支持的で助けとなり得る対人関係から距離を置いているのはなぜか、などを深く話し合います。この6番目の質問は非常にシンプルで奥深く、クライアントを惹き込むような問いかけです。占星家は、単独で「舞台」に立つ存在ではありません。

7.「あなたはどのように人々を助けますか?そして、なぜそこまで(あえて聞きます)極端なのですか?」
この質問は、顕著な西半球の強調を説明する足掛かりとなるもので、通常11ハウス、もしくはアセンダントや2ハウスのシグニフィケーターが関わる緊張度の高いアスペクトに関わっています。また水瓶座の強調も重要です。クライアントは、自身が愛らしく価値ある存在であると立証します。その(立証の)必要性を激化させたものは何でしょうか?それはいつから始まりましたか?報酬は、実際にどのくらいありましたか?

8.「この問題(どんなことでも)は、あなたの性生活にどのように影響しましたか?」
家庭/結婚生活の問題(しばしば職場での不満に端を発します)が、愛や性の交換を中断し、制限し、脅かし始めると、あらゆる問題が悪化します。これはしばしば、5・7・8もしくは11ハウスの支配星の関わるアークやトランジットで予告され、またそれらのハウス(5・7・8・11)ネットワーク、太陽/月のミッドポイント、そして土星と金星が明示する、出生図の脆弱な部分に作用します。問題の悪化は緊張を伴う孤独をもたらし、一体感と支持が欠落します。さらに、性生活(愛情関係)以外で配偶者に不満をいだかせているという恐怖を持っている可能性があります。−これは「仮定の質問」であることに注意してください [ 著書「Creative Astrologer」を参照ください]。問題が性生活に影響を与えているという仮定は、天体配置の指針に基づいたものです。

占星術の高い技術水準を身に付けているにもかかわらず、クライアントとのやりとりに困難を抱えている占星家は、上記のような自由な会話を促す巧みな質問を用い、主要な問題を発掘し焦点化してください。そしてコミュニケーションにおいて信頼を獲得してください。 きっと驚くような結果があなたを待っています。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


Essay < Page top <