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実用性と現実が天体配置を導く(Practicality and Reality must lead Measurements)

(ノエル・ティル著 「Guide to Astrological Consultation」 219頁より抜粋)

Counseling Insights, June 30, 2007


最も適切な予測を導き、その予測の力を最も強力に働かせるには、2つのカギがあります。何が計画されているかの論理的かつ適切な把握と、それを現実化させようというクライアント自身の参加意識です。

例えば、学校教師(クライアント)のホロスコープに、水星=木星 という明白で強力なアークと、同時期にSP月がMCにスクエアになるのを見つけたとします。理想的には、これらの表示は相互に関連します。私たち占星家はこの配置から、仕事の昇進を促され、職業上の進展に関係するような旅行や学習体験をしそうだという「感覚」を持ちます。

占星家はこの問題を取り上げ、クライアントがこの「感覚」を実際に既に(もしくは今後すぐ)体験している/する かどうかを確かめなくてはなりません。次のように質問するとよいでしょう。「これはチャートに非常に強力に暗示されているのですが、仕事の進展に役立つ、さらなる学習(研究)の機会が今あるとしたら、それは何ですか? いま何が起こっていますか?」

クライアントはおそらく、思い当たって明るい顔で答えるでしょう。「ええ!私は今ハイスクールレベルで教えたいと思い、申込みをしようとしているところです。 その資格を得るためには特別なコースの受講の必要があります。私はすぐにこのコースを受講するべきでしょうか?」

クライアントにとって状況は実際的であり、現実そのものです。したがって、この状況において占星術は戦略的に重要と言えます。

しかし忘れてはならないのは、同じ天体配置が、例えばサウス・ダコタ州の農民のホロスコープにも形成され得るということです。農業に携わる人の現実の体験は、(上記のクライアントとは)また異なります。その天体配置について討議しても、農業従事者の人生において重要なことを何ももたらさないかもしれません。しかし、もし指針が顕現するとしたら −もし「機会」が存在するとしたら− 「結果」としての当人の行動は、新型の刈入れ機の技術を見聞する集会に参加するための旅行であるかもしれません。その集会で得られる情報は、きっと彼の仕事にプラスになるでしょう。

また、もしこれがタイム誌の制作に携わる人のチャートであれば、上記の指針は、近未来に重要なキャリア(出世)に役立つような海外任務(頻繁な出張を要する)を示しているかもしれません。

私たちは、クライアントの現実から生じる体験の方向性に天体配置を符合させて解釈する必要があります。天体配置に生命を吹き込む戦略を微調整するために、クライアントの話に傾聴し、個々の現実を注意深く点検してください。

ホロスコープの天体配置が焦点化する時期になっても、必ず実際の人生で出来事が起きるわけではありません。すべての配置の示す事柄が顕現するわけではありません。天体配置の多くは、個人の現実体験においては意味もなく通り過ぎてしまうものです。クライアントが意図的に関わり、周囲の環境の協力がある場合に限り、変化は起こり得ます。私たちは教科書に忠実である以上に、現実に即して考えることに集中しなければなりません。

多くの人々が、自身の炎を掻き立てることなく、チャンスに手を伸ばさないまま、不本意な成績(人生)に甘んじています。多くの人々は、りんごが熟して自然に落ちてくるのをただ待っているのです。(自らが設定した)人生の規準・水準から外れる一時的な危険を怖れる一方で、奇跡が起きることを彼らは願っています。実際に駆り立てられ、刺激されなければ、奇跡はめったに起こるものではありません。

原動力的な配置(主として外惑星、アングル、太陽、月を含む)の働く時期もまた、私たちは敏感にならなければなりません。例えば、冥王星のアークがアングルに来るかアングルとスクエアになる、もしくはトランジット冥王星が同様の配置を形成する時期は、クライアントの人生の背景としての重大な1年(冥王星のトランジット運行が本質的に遅いことと、定義上のアークの効力期間から考慮して)となるでしょう。人生展望の変化の可能性は非常に高く、またその変化には、ある程度長い期間を要することがほとんどです。変化の前兆においては劇的な事象が発生することもありますが、(全体の)展開は我々が望むより遅くゆるやかです。様々な詳細がパズルのように組み上がっていく過程を要するのです。

例えば、海外移住をする場合:決断する時、あるいはその過程では、非常に多くのことを計画したり、官僚主義的儀礼をこなす必要があります。意見交換や、あらゆる種類の規則に従うための時間も必要です。家族が関われば、当然ながらその問題は複合的なものになります。

土星もしくは冥王星が関わる場合、拡大家族(親戚等を含む広い意味の家族)の中で、死に直面する(死という事態が予測される状況であれば)ことがあるかもしれません。もし誰かの死に際する/際したのであれば、人生の歩みの中でそれを消化しなくてはなりません。死と向き合う体験が、さらなる成長と前進の戦略として意味することとは何でしょうか。

天王星の場合は、理想的には個性が目覚めます。移住(移転)、転職など、あらゆる独立の仕方の検討が必要になり、予期しない領域が、最も目立つ位置にやって来ます。もし事態がうまく運ぶなら、あなたは多忙と興奮の中にあるでしょう。もし計画が阻まれるなら、気性の激しさがもたらす危機が蔓延するかもしれません。未決案件の調整についての現実的評価はどうなっていますか? クライアントは自分の身に起こっていることと同調できていますか?

海王星の場合は、拡がる落胆、当惑、および不可解な遅延に直面する可能性があります。抑圧感や孤独感を、忍耐力や内省へと置き換えなくてはなりません。何らかの「夢」が人生にやって来るはずです。

占星家は、現実性と実体のスペクトル(変動範囲)に対し、油断なく鋭敏でなければなりません。そうあることで、占星家の仕事はより信頼に値するものとなります。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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