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自分が創り出す感情(印象)(The Feelings You Create)

Counseling Insights, March 31, 2008


自分の発言をいともたやすく忘れてしまう、というのは人の常でしょう。しかし、その発言を相手が「どう感じたか」については印象強く覚えているものです。−私たちは言葉より感情のほうを容易に、そして正確に記憶するのです。

私たちは毎日幾度となく「感情」について尋ねられます。「気分はどうです?」「これについてどう感じる?」「今回の選挙についてどう思われますか?」等々。
「不快な気分だね」「それを思うと気が滅入るよ」などとあなたが答えたとして、もしそのとおりに感じているなら、問題ある状況になってしまいます。

私たちは日々、あまりに頻繁に感情を意識せざるを得ません。占星術カウンセリングにおける最後の5分間は非常に重要ですが、それは締結の感情と共に決心したことが最も保持(維持)されるからです [「Counseling Insights」アーカイブ記事、2001年8月を参照ください]。「最終結果」は固定されます。カウンセリングの場を後にしたクライアントが未来の人生へ進む際に持っていくもの、それは議論を通じて育まれ、カウンセリング終了時に再評価され、焦点化された感情です。

〜「人生における関連性(Life-links)」は大変重要です。〜
感情は価値判断の一種と言えます。それらは出来事や記憶、期待、ビジョンなどに関連して意識化されます。いくつもの「感情(価値判断)」を、私たちは顕著に劇的に、そして長きにわたり持ち続けるものです。それらの「連結の様子」を見て、占星家はカウンセリングにおいて明確かつ実践的な戦略を立て始めることができます。

一例を挙げます。時期についての占星家からの指摘に対して、性的いたずら(もしくは性的に利用)をされていた、思い出したくもない8〜11歳頃のことをクライアントが認めたとします。その場合、占星家が取れるベストな反応としては「そうなんですね。分かりました。辛い時期から脱け出した今のあなたの人生に、その体験がもたらしたのはどんなことか、尋ねてもかまいませんか?」(など)ではないかと思います。これは、出来事の詳細についてでなく、クライアントにとってのその体験の重大性と感情についての質問です。占星家は、クライアント自身による自己治療力や、強力な答えを得るため長年にわたり行なった記憶の調整や価値判断の操作(良きにつけ悪しきにつけ)を想定します。そして、とてつもなく深い理解に素早く到達します。
クライアントは、あなたのしていること−痛みを伴う想起からクライアントを遠ざけ、距離を作っていること−をちゃんと理解しています。

成長過程のどんな困難な出来事に関しても用いることのできる別の問いかけに、次のようなものがあります。「一連の出来事は、今のあなたにとって何を意味するものですか?」。−「思い出す」ための刺激をもしクライアントが必要とする場合や、「感情」や「重大性」にまつわる語彙が不充分な場合、占星家がこんな風に言うことで、議論は進み始めます。「ひとつ言えることは、あなたを挟んでご両親の間に権力争いが確かに存在した、ということです。ご両親のそういったふるまいは、あなたの3度の結婚(と離婚)経験にどのように影響(反響)しましたか?」

(カウンセリングが進むにつれ)人生の至る所に存在する、感情的に重大なクラスタ(固まり・群れ)に向けて気持ちは徐々に棚卸しされ、リストされ、整頓されていきます。一連の辛い出来事がもし「現在」発生したとしても、幼少期から身に付けた価値判断と現在の感情との結び付けは、昔より容易になっていることでしょう。光が見えてきました..!

〜カウンセリング中の涙〜
しばしば涙はカウンセリング中に溢れてきます。占星家は、クライアントの強烈な感情体験にしばしば言及しますが、クライアントの「感情」が、まだ安全に客観性を保てていない場合もあります。そんな時、クライアントに「これは苦痛の涙でなく、『気づき』の涙だと私は思いますよ」と言ってあげるといいでしょう。これは小休止にもなり得ます(ひと口の水が、実際に涙を止める可能性もあるでしょう)。この瞬間クライアントは感謝に満ちています。そして占星家は、先へ話を進めることができます(カウンセリングとは、遷延的な議論に終始するものではありません)。

カウンセリングのトーン(論調)は徐々に、思考、議論、記憶、そして(未来の)計画へと向かいます。成長過程のキーになっている時間へ戻る恐怖は、消え始めます [「Counseling insights」アーカイブ記事、2001年12月31日を参照ください]。

あなたが(無意識に)作っている「感情」に気づいてください。「よいパフォーマンスをしなければ」という個人的な怖れは脇に置いてください。あなたが思うより、はるかにあなたは印象的です。思いやりと優美な会話で、クライアントの気持ちを晴れやかに、元気づけることができるでしょう。笑顔と信頼感を湛えてカウンセリングは終了します。−そのひとつひとつが素晴らしい仕事なのです..!

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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