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報酬により確立する意義(Rewards establish Meanings)

Counseling Insights, May 31, 2008


私たちの「思考」は、世の中で起こるあらゆる出来事に価値付けをします。そして自身を発展させたり、物事を変化させるためにそれを情報として利用します。

「それは結局どういう意味ですか?」「なぜこれはこの状態になっているのですか?」私たちはよくこのように尋ねます。

「政治や宗教について、なぜ私はこれほど頻繁に(しかも容易に)議論・討論してしまうのでしょう?それはなぜ自分に重要なのでしょうか?議論すればくたくたに疲れるし、トラブルにも巻き込まれます。そういった緊張があるにもかかわらず繰り返してしまうのです」と、最近会ったクライアントから非常に真剣に尋ねられました。

「あなたがその闘いから得る『報酬』に目を向けてください。そして、その報酬を他の方法で得ることができるかどうか考えてみましょう。もっと動揺の少ない方法を。」と、私は答えました。

彼が尋ねたのは、必ずしも自身の行動についてでなく、実は価値(意義)についてでした。クライアントの質問の真意は、「こうしたふるまいの意味(意義)は何だったのでしょう?」ということだったのです。

彼の過去に、そのふるまいのパターンの『報酬』の起源がありました。その『報酬』とは、理知的な状況の中で制御権を獲得すること(土星と太陽が蠍座にあり、冥王星・木星が太陽とスクエアです−−ゆっくり読んで配置のイメージを確認してください)と、それを通し彼の自己価値を確立することでした(太陽は2ハウスを支配しています)。

〜報酬の欲求(Reward Needs)〜
カウンセリングをするにあたり、私たち占星家はクライアントが持つ「報酬ニーズ」をよく考えなければなりません。上記のケースでは、クライアント(紳士)の木星は乙女座にありました。報酬ニーズは「正確かつ正当であるべき(乙女)」という方向性を持っています。
この木星と冥王星との結びつきが、政治論争へと導きました。討論は闘技場へと持ち込まれたのです。

ジョージ・W・ブッシュの天秤座の木星は月とコンジャンクションであり、「人気を得たい(天秤)」という強大なニーズを持っています。−だからこそ、まさに今の歴史的支持率低迷に彼がどれほど深く傷ついているかが想像できます。−ビル・クリントンの木星も天秤座です。この2人の大統領の虚栄心が(歴代大統領に比較して)最も高いことは確かでしょう。

バラック・オバマは、水瓶座の木星が水星とオポジションです。「幸福でない人々を救済する際に、人道的観点から理路整然としていたい(水瓶)」という報酬ニーズがあります。

ヒラリー・クリントンの射手座の木星は、アスペクトがありません(ペレグリン)。「自分の意見が尊重されること(射手)」に対する不屈の欲求を持ちます。

ジョン・マケインの木星も射手座にあり、木星は3ハウスの支配星です。彼の報酬ニーズとは「自身の意見が尊重され、経験豊かな小父さんのようであり、そして真実を述べる人物であること(射手)」でしょう。

エイブラハム・リンカーンの魚座の木星はペレグリンで、MCの支配星です。これは「同情(からの行動)と理想の遂行(魚)」が彼の報酬ニーズである暗示です。法王ベネディクト16世の木星もまた魚座にあります。

山羊座の木星の報酬ニーズとは「自分の計画どおりにものごとが遂行されること(山羊)」です。ヒトラーやニクソンがこの配置を持っています。

喜劇女優のピュリス・ディラーやジャクリーン・ケネディ・オナシスは、双子座の木星を持っています。「面白くきらめいた人物と見なされたい(双子)」報酬ニーズの暗示です。

ネルソン・マンデラの木星は、蟹座で冥王星(政治)とコンジャンクションです。「大規模に(冥王星)福祉や救助に携わったり、安心感を提供する(蟹)」報酬ニーズを暗示しています。

ロバート・デ・ニーロの木星は獅子座にあります。「良さを評価され、劇的に重要(な人物)であると思われたい(獅子)」報酬ニーズの暗示です。

リー・ハーヴェイ・オズワルドの牡羊座の木星は、海王星とオポジションです。「個人的な認知と重要性(牡羊)」にまつわる報酬ニーズが確実に存在します。トム・ブロコーの木星も同じく牡羊座にあります。

ボブ・ディランの木星は牡牛座です。理想を形にする。占星学者のニコラス・キャンピオンも牡牛座の木星です。「構造化された場所にすべてが納まるような理想的な組織によって充足したい(牡牛)」報酬ニーズがあります。

〜終わりに〜
キャンピオンによる、宗教的・魔術的・科学的な出来事を通じての占星術の起源の見事な研究(「The Dawn of Astrology(占星術の夜明け)」)の中で、彼は人間性におけるひとつの根源的な考察を非常にシンプルに述べています。「人間は意味(意義)なく機能するものではありません(5頁)」
私たち人間はその存在の原初から、日々永遠に繰り返される日の出から自然界の大変動に至るまで、あらゆる物事を解釈する生来的欲求を持っていました。

人間は、出来事の意味とその状況を支持するものを捜し出そうとします。その行為はとても多くの明確な価値基準を確立します。人間のこのような欲求は、ホロスコープや、人生における(自身の)ふるまいのすべてを通して脈々と流れています。カウンセリングの中で、このことに関する高度な気づきを得られることが望まれます。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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