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職業プロフィールについてクライアントと話し合う(Discussing Vocational Profiles with the Client)

Counseling Insights, July 31, 2008


職業プロフィールを提示することは占星家の行うもっとも重要なサービスであると同時に、概要をクライアントとコミュニケートするのが難しいテーマでもあります。

ほとんどの人々は、才能を発揮できる最善の職業とは異なる誤った職業についている、という劇的で厳しい現実を私たちは考慮しなければなりません。どれだけの人々が「私は自分の仕事が好きです」と自信をもって言えるでしょうか。とても少ないのが現実でしょう。

したがって、私たちがホロスコープから読みとった職業プロフィールをかなり慎重にクライアントに提示したときでも、次のような返事を聞くことがしばしばあります。「それは私が大学で勉強したことでとても好きでした。しかし、その後私は父親の兄弟の縁がきっかけでその道から離れ・・・」、あるいは「確かにそのとおりです。私はそういう類の仕事をしたいと思っています。しかし、なかなか事がうまく運ばず、私はその道からそれてしまい・・・」、「あなたの言うとおりです。いつかはそれに着手しようと思っています。おそらく定年後になると思いますが・・・」

人生において、いろいろな「物事」が妨げとして降り掛かってくることは理解できます。私たちは、個人の最善の発展にはつながらない可能性のある家族と離れることや、その他の状況的な決断を行わなければならない時もあります。

このような状況では、ホロスコープの職業プロフィールに関するよい情報は、その人が「船を逃した」あるいは「つまずいた」かもしれないという悪い情報にもなり得ます。そして、歳をとればとるほど、あらゆる種類の変化を考慮することは現実的でなくなってしまいます。

占星家は、これについてどのように話を進めるべきでしょうか。

1.組み合わせ:ホロスコープに「教育、教えること」(月のオリエンタル、5ハウスの強調、9ハウスの関連など)が示されている場合、必ずしも「学校で教える」ことを意味するとは限りません。それは、どんな仕事においても教育的な活動や責任が与えられることにより大きな充足が得られるということを意味します。

例えば、ある女性は航空会社に勤めています。彼女はほとんどの時間、大きな空港のチケットカウンター後方で厳しい立場で働いています。しかし、彼女のホロスコープの職業プロィールには「教育」という重要なはけ口が示されていました。そして事実、大学2年目に結婚のために退学するまでは教職課程を履修していました。重要なカギとなる質問は「いま航空会社での仕事をする中でどうしたら教える役割を得られるでしょうか。新しい人材を訓練するチームの一員になることはできますか?」というものでした。

社内の立場の調整が、職業プロフィールの表現を効果的に援助する可能性があります。優れた著述の能力をもつ男性は、彼の法律事務所や保険会社の広報担当になることにより仕事のパフォーマンスを変えることができるでしょう。銀行員が、その銀行のサービス部門で社会福祉の資金調達を考えることもできるでしょう。それほど成功していない芸術家は、パートタイムで不動産会社向けにインテリアデザインサービスを考案してもよいかもしれません。社会福祉の感性を持ったソフトウエア製作の巨匠は高齢者にコンピューターを教え、社会との関係を保たせる仕事を考えるとよいでしょう。**企業のセンスが覚醒する様子にも注目してください。

2.補助的な教育:おそらく、クライアントが現在の仕事においてレベルアップしたり、あるいはまったく新たな仕事へのシフトを可能にするのは、2年間夜間スクールへ通って学び、何らかの資格を取得することでしょう。不動産販売員は、週2回近所の教会の神学校へ通い見習いをし、その後、週3回、4回、6回...と回数を増やしつつ(牧師などの仕事に)移行していくことができるかもしれません。

確かに、見習いという方法は、ホロスコープ上では発芽するはずで、まだ仕事上現実化していない価値観や力強さを人生の発展に組み入れていくには素晴らしいスタートでしょう。ほとんどすべての企業は熱心な見習いを求めています。つまり、情熱は高いが、人件費は安い人です。見習いとは転職のみならず、モラルや未来のビジョン、職業技能的なものの増強など、さまざまな方面に有益な実地訓練(休み時間に行なうことのできる)です。

また、交流により充足することもできます。オペラ歌手やオーケストラ演奏家になりたくてなれなかった人は、地方の市民オーケストラのために自身の会計技能を提供したり、劇場で座席案内をしたり、週末に地方の演劇協会のコスチューム部門の仕事をすることにより充実感を得られるかもしれません。要点は、クライアントが「(内面の)豊かな人々」になればなるほどホロスコープに示される潜在性に近づいていくということです。

−仕事や職業選択を解釈する場合、(クライアントには)かなり多種類のアンカー(落ち着くポイント)が存在することを私たちは忘れてはなりません。(本人の)経験の蓄積、保険や年金プランへの加入、子どもの教育課程、家族の発展計画、収入の増加、などなど。人々は、こういった考慮点についてできるかぎり安全に確立していくよう社会から求められます。しかしそれでも、各プランが長く継続するほど、変化させることは現実的ではなくなり、ときには不可能でさえあるでしょう。

友人の助け:クライアントが、自身の理想の仕事に就いている人(身近な人)をよく知っていることがしばしばあります。このような知り合いや友人は、あらゆる面で(クライアントの)「最初の一歩」となり得ます。その職業に必要なガイドや教育との接点を明確に照らし出し、「移行」の素晴らしい援助者となってくれます。「あなたが志望している職業に就いている人を誰か知っていますか?おそらく、探究できる近道があるでしょう」

タイミング:変化がもっとも実りある時期はいつでしょうか。外面にも明らかな変化は、最初のサタン・リターン(T土星・N土星のコンジャンクション)の1年半前や、2サイクル目の開いていくスクエア形成の約8か月前に来ます。理想的な変化としては、木星のトランジットやアークの影響下の、報酬の約束される時期はとても助けになるでしょう。素敵(不思議)なことに、クライアントは「それらが迫り来るのを感じる」ことができるのです。他に、ソーラーアークのセミスクエアが重なり、同時にT天王星・N天王星のオポジション、T土星・N土星のオポジション、木星のアスペクトなどが重なる強力な時期が42〜46歳ごろにやって来ます。

50歳以後になると、変容が非常に実りにくいことは確かです。年齢が高い場合、「調整」が鉄則です。クライアントは、そういった配慮のできる占星家を尊敬するでしょう。

職業プロフィールの分析には、研究や訓練が必要です。しかし、それに見合うだけの報酬はあるでしょう。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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