HOME > ESSAY > COUNSELING INSIGHTS

質問の技法(Art of Questioning)

COUNSELING INSIGHTS July 15, 1999 by Noel Tyl


私たちは占星術において、ホロスコープの表示をクライアントの実人生に関連させる努力をします。時間的な構造を土台に成長(発展)する本質に気づくために、私たちはクライアントに質問をします。この「本質」とは、占星術の教科書からではなく、クライアントの人生から生じるものです。天体の指針を、過去から未来へのクライアントの人生の成長(発展)に有意義かつ戦略的に適応させるため、クライアントの実状とその人生レベルを解明しなければなりません。

占星家の頭脳がもたらすものは、学習、経験、およびインスピレーションに基づく創造的推論です。 このような推論は、天体配置という「素材」と、複数の出来事との間に私たちが見出す関連性です。創造的な占星家は、カウンセリングの冒頭で、クライアント自身がすでに認識していることを捉えます。そしてシナリオの展開が明確になるにつれ、成長(発展)途上に確かに存在したが、それにまつわる何らかの問題があり、それがあまりに面倒で目を背けてきた物事がしばしば明らかになります。

最初の質問カテゴリは、「単刀直入(ダイレクト)」な質問です(3つの質問の仕方があります)。まず、「はい」もしくは「いいえ」の答えを促す質問があります。この種の質問は、(会話の)終局とそれにまつわるドラマを招きがちです。そのことを意識して使用するべきでしょう。例えば、会話のまとめの状況で、「さてと..。私たちの話し合いとしては、結局はこの仕事を離れることになりそうですね..?」などという使い方をします。しかし、クライアントのおしゃべり好きを当てにできるというような特殊な事情を除き、回答が「はい」か「いいえ」になる質問は、会話自体を完全に停止させる恐れがあります。この種の質問には発展性がありません。

「あなたはお父さんと仲良く暮らしてきましたか?」 答えは「いいえ」かもしれません。話はそこで終わりです。答えが「はい」でも同様です。占星家は即席の質問で意味(重大性)を模索するばかりのように見えます。 [TVのトップインタビュアーの質問の仕方に注意深く耳を傾けてみてください。彼らがどう尋ねるか、なぜそう尋ねるかを考察してみてください。そして、返ってくる「答え」に注目してください]

2番目:「開放的(オープンエンド)」な質問をすることで、応答の可能性は大いに高まります。「お父さんとあなたの親子関係はどんなものですか?このカウンセリングではとても重要なんです。」 あるいは、「お父さんとの関係について、ぜひ話してもらえませんか?」といった、(若干)命令調の「開放的質問」をすることも可能です。

3番目:「クライアントによるきっかけ(クライアント・キュー)」:あなたの秩序立った準備計画の範囲外で、話を深めるのに有利な誘導尋問をする機会が突然訪れます。クライアントの言葉選びに耳を傾けると、特定のキーワードに対するエネルギーの集中に気づき、話の流れを一旦中断する必要性を感じる瞬間にしばしば遭遇するでしょう。例えばあなたのクライアントが、「..でも、私はあなた(占星家)の言われるような○○ではありません」と言ったとします。−「失礼ですが、あなたはなぜ○○ではないと思うのですか?」 クライアントは「...それは、うちはそこまで厳しくなかったからです」などと返答するかもしれません。そこであなたは「『厳しい』とは、具体的にはどんなことを意味しますか?」と尋ねます。この質問の答えを聞いて、一般的に父親から得られるものと定義される、信ずべき愛の指導に欠けていたものが何であるかをあなたは理解するでしょう。このように、クライアントの「要」の言葉と概念のエネルギーに沿ってカウンセリングを進めていきます。

4番目の単刀直入な質問は、私が「仮定(アサンプティブ)の質問」と呼んでいるものです。「お父さんとの関係において、疎遠や恐怖のような、あなたにとっての大きな困難は何でしたか?」 この質問が引き出す答えは次のようなものかもしれません。「私の父はがらくた同然でした。 そばにいてほしいと思う時、そこに彼が居ることは決してありませんでした。その上、酔っぱらっては母を殴りました。それに...」 もしくはこうかもしれません。「彼が家に戻らなかった時、探しに行かされたのはいつも私でした。『その酔っぱらい』がどれほど醜かったか、想像できますか..?」[これは実際の返答です]

上記の「仮定の質問」のケースでは、クライアントと父親との関係は本当に問題の多いものであったろうと私は仮定しています。そして「疎遠や恐怖」という、ここで私がほのめかした言葉は、出生の土星が逆行の場合(もしくは、土星が太陽か月にスクエアになっている場合)に、概して起こりやすい次の3種類の状況をカバーしています。@彼(父親)はかやの外にいる、A受身で主体性がない、Bもしくは暴虐的、です。このような仮説を立てることにより、占星術的プロセスは影響力(権威)を、そして占星家は信頼を獲得することができます。

また仮定の質問は、遠い昔からの父にまつわる感情に関して容易には素直になれないクライアントがしばしば行なう、最初の防衛的な返答を避けるものでもあります(父に対してのみならず、感情的な限界を自覚している他のどんな問題に関しても同様です)。「..ええ、父は働き過ぎで、いつも疲れていたんです。だから..」−この防衛をさせてしまった時には、後に話し合いが解放的で落ち着いたものに変わってきた(信頼、告白等により)時に、再びこの問題に戻る必要があると意識しながら私はカウンセリングを進めます。土星逆行に関するこの洞察は、私の過去25年間の決して少なくない、意味深い経験の数々から、誇張なしに、関連ケースの98%に対しかなり確実に当てはまると言えます。

[さらなる学習のために:著書「Synthesis & Counseling in Astrology」の35〜48頁、719〜721頁をぜひ参照ください]

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


Essay < Page top <