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見棄てられる怖れ(The Fear of Abandonment)

Counseling Insights, September 25, 1999


表題の「パターン」がカウンセリングの中で明らかになることは非常に多いです。−まさに今朝再来した4人のクライアントのうちひとりもその一例でした。このクライアントは、未婚の母の死に際し祖母の養女となったのですが、その祖母が約6年後に亡くなり、引き取られた3番目の家庭の継親(まま親)は、改善の見込みのないアルコール中毒患者(州からお金を得るためだけに養子を取っていた)です。この子の身の上において、ここで明らかになるのは「見捨てられ」パターンです。

この女性は18歳(通常、9ハウスのシグニフィケータに成長過程の強い緊張が掛かり、またアンギュラーに対するその時期の鋭いトランジットなどが拍車をかけ、進路変更の暗示となります)の時、結婚により高校を中退しました。「何でもいいから、心のよりどころとなり得る自分自身の家庭を持ちたかったんです」と彼女は言いました。−(初期の家庭での)未解決の問題のため、電車が出発点近くの駅で、本線から外れてしまったようなものです。

その結婚は性急であり、地に足がついたものではありませんでした。妻と夫は、自分たちがそれぞれ異なる方向に向かって成熟しようとしていることに気づきます。そして離婚です。−この結婚(再婚)に関する同じようなシナリオは、その後も繰り返されることが多いです。

人生早期の困難な時期に黙々と築き上げられていた別のアイデンティティが、正面(中心)に来始めます。精神療法(や占星術)は、(クライアントが)手本となる家庭環境を持ったことがないこと、特に、人生の発展と自己価値の安定した男性が存在しなかったことを確認します。これらすべては、幾度でもはっきりさせ、(クライアントが)よく理解する必要があります。そしてこれらは、将来のクライアントの自信や才能発揮のために調整されなくてはなりません。

大人になると、この個人は交友関係、親密な関係、援助などの申し出を拒絶するようになります。人生の良きことを受け入れない、もしくは信じないよう、彼女は自己隔離を始めます。例えば事態が深刻になった時に、恋人がどこかへ行ってしまうなど、傷つくことを二度と繰り返さないために他者を拒絶することは、見捨てられる脅威に対する報復力になり得ます。

それは日常化され、ワンパターンの反応になります。客観的理解と行動の修正だけが、パターンの束縛から自由になり他者からの信頼を得られる道です。

上記のようなシナリオが人生で発達し始める時、言わばレセプター(受容体)である太陽−月のブレンドは、あらゆる影響がいかに人生の成長(発展)を内破させたかを強く示唆します。特に今朝のケースでは、太陽が魚座でASCにあり、逆行の水星とともにありました。非常に高感度なレーダー網はとても敏感に働くのです。月は蟹座にあります [太陽−月のブレンドについて記載のある「Analytical Techniques 」アーカイブ記事をぜひ参照ください]。家庭というものの存在や、感情的に守られたいという統括的欲求があります。この女性は、人生初期の環境の強烈な潜在的犠牲者でした。

魚座の太陽が魚座ASCにあり、支配星の海王星が乙女座在住で 太陽とオポジションになっています。私たち占星家は、(この配置から)他者を通して自分を見つける特徴を提示することができます。これは攻撃されやすく(影響を受けやすく)、だまされやすい(犠牲者になりやすい)配置です。

このケースでは、7ハウス支配の水星が、アセンダント上の太陽と共に12ハウスに在住し、逆行しています(上記のような体験すべての範囲内の二義的問題)。−シグニフィケータ同士のアスペクト(またはミューチュアル・リセプション)を通してASCとDECが非常にきつく結ばれているときには、他者を通して自分を見つけるという(内的な)意向が推測されます。しかしそれは、他者による搾取や失望、放棄の起こる可能性も高く、そこから拒絶と自己隔離という最終的な防御反応を身に付けるなどの行動パターンへとつながるかもしれません。

これらの認識や価値、そして改善テクニックをクライアントとどのように話し合うかを学び、身に付けてください。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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