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自信を得るための掌中のカード(Palming a Card for Confidence!)

Tyl HP, June 30, 2008  


私はピアノを弾くのが好きです。決して上手くはない(本当です)のですが、和声法と対位法を独学し 均整のとれた音を創ることはできるので、印象的には弾けているかもしれません。

最近私は、世界級ピアノリサイタルを見に行ったのですが、偉大なアーティスト(G・オールソン)は、ベートーベンの非常に有名なEフラットのソナタ(Op. 31, No 3)を弾きました。第二楽章の主題は、8つの16分音符から成るグループ4つを含みます。喚起的かつ魅惑的なシンプルなメロディーを、スタッカートが補強しています。

この楽章の譜面を入手し、私は16分音符を弾く練習をしました。..なんと難しいことか..!技術面の詳細を言えば、均等なタッチにすることが困難で、繰り返す打鍵に対する鍵盤の反応のしかたに慣れなければならないなど、ポイントはいくつかありました。−でもこの試みにより私は、挑戦の応えとは単純に「実行(訓練)」であることを学びました。自身のピアノ技術の上達がそれを信じさせてくれました。

私は「手品」を研究するのが好きです。決して上手くはない(本当です)のですが、私は仕組まれた奇跡や印象、ひと組のカードが創り出す結果(効果)、軽妙なトークの策略、そして厳しく訓練された巧妙な手の動きを評価(感知)しているので、印象的に見せることはできているかもしれません。

「ピアノを弾いてくれませんか?」と頼まれれば、かなり不安になります。うまく弾けるでしょうか。私の指は思うように動いてくれるでしょうか。印象的に弾けるでしょうか。それとも誰にも興味を持って聴いてはもらえない、デパートなどのバックグラウンドミュージックのようになってしまうでしょうか。

「手品をやってくれませんか?」−これもかなり不安になります。うまく披露できるでしょうか。私の手は、幾度もリハーサルしたように頭脳の指令についてきてくれるでしょうか。皆の興味を引き続けることができるでしょうか。それとも、見えすいたいんちきなものだと幻滅されてしまうでしょうか。

もちろん、こういった心の動きはとても自然なものです。そして不安定さや懸念は、実践や学習を喚起します。学習は自信につながります。−私たちは、どんなことをするにも全力を尽くさなければなりません。

<問題と格闘する>
マジックでカードを掌中に隠すのはよく知られた策略です。しかしそれをマスターするのは非常に難しいかもしれません。カードをいつ掌中に隠すべきか気を配らなければなりません(自分の手を見ずに行なわなければなりません。そこに居ない人の名前を、さも居るように呼ぶ感じでしょうか)。そして、トリックの最中にそれを一番よく知る自分がそのトリックをいかに管理し続けるか(ポーカーフェイスを続けるか)も重要でしょう。

最も難しいのは、隠してあるカードが観衆に見つかるのではないか、ぎこちなさが出るのではないか、トリックがばれて失敗するのではないか、という怖れに対処することです。カードを掌中に隠しているとき、頭に浮かぶことはそんなことだけなのです..!そしてなぜか、この怖れは観衆に向けて熱気を発散します。

この手品において自信を構築する方法は、次の通りです。まず、トランプの束(通常一番上)からカードを手のひらに向けて回転させる、もしくは押し付けながら掌中に隠す方法を練習しましょう。カードと手のひらの間の、微妙な圧力の感触点を記憶してください。指の広がり方や、手の動きの自然な休止をしっかり覚え込むために、鏡に映して練習してください。感覚を記憶してください。一連の動作をスムーズにできるようになるために、無駄な動きを削いでください。自分の手を見ずに手品をしながら、話す(アルファベットを暗誦するように)練習をしてください。

そして、手のひらにカードを隠したまま人に見せずに、あらゆることをしてみてください。カードを隠した手を使いながら日常活動や社交、夕食の用意、ワイングラスを傾け会話などをしてみてください。ポイントは、その長い時間、あなたとカードが一体となっていることです。そしてそれは露見していません。−(手品)終焉の5分ほど前に、劇的にカードをパッと出してください。観衆はこんなふうに言うでしょう 。 「えっ..!カードそこにあるなんて全然思ってなかったよ..!!」 そうしてあなたは、それ(手品)に慣れていくでしょう。あなたが獲得した安定性(身のこなし)について考えてみてください。

これは信頼を力強く構築することを私は保証します。あなたは、自らを自らに証明しているのです。

ここでは、16分音符を弾く技術をどう身に付けるか、という話を占星術に置き換えて考えてください。他者に対してよい影響を与えられる自信を持って自分を表現できるようになるために、あなたはどれくらい注意深く、ピアノを弾くのに必要な技術や、カードを掌中に隠しておく技術(占星術の提示技術)を学びましたか?

天体配置に対応する人生(発展)パターンをあなたは知っていますか? あなたは、流暢かつ如才なくそれらのパターンについて解説することができますか?−洞察を語ろうとする時、あなたは落ち着きなく自分の「手」を見てしまいませんか? 切り札を出す時、あなたはしっかりとクライアントの目を見ることができますか?

自分は立派な占星家である、という強い確信を持って活動することができますか?あなたは、あなたが到達し得る最高の占星家になれるでしょうか。

−もしあなたができないとしたら、まだまだ努力しなくてはなりません。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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