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過去の出来事の想起(Remembrance of Things Past)

Tyl HP, August 21, 1999


最近起こったつらい体験を思い出してください。そのことがなぜあなたをそんなに苛立たせ、傷つけたかを分析してください。例えば、配偶者の見解においてあなたの自己イメージが脅かされていたとします。情況がどうあれ、あなたは実際よりも見下されていると感じていました。−これは占星術的には、月の象徴に反映される生命エネルギーの流れ(個人の発達の原動力となる統括的欲求の象徴です。「Analytical Techniques」の記事を参照ください)が妨害され、ブロックされ、(心身面に)障害を抱え、見過ごされていたことを示唆します。

このような場合、出来事の価値は、あなたがその出来事をどのように評価するかにあります。自身が物事に価値を付与するのです。周囲や自身に起こる物事の重要性は私たちが決めています。

こうした評価のプロセス、物事に意味を与える過程の中で、反応パターンの宝庫というフィルタを繰り返し通しながら、反応は徐々に習慣化していきます。

では、今まさに体験中の昨今の出来事に対する反応や私たち自身が付与した価値について考えてみましょう。そして、同じ評価を呼び起こす過去の類似の出来事をふり返ってみましょう。人生初期の出来事がたとえ単純で取るに足らないようなものであっても、核心的な重要性は確かにそこにあります。容易に戻れる範囲で遠い過去へ戻ってみると、評価の焦点と反応とを生み出したいくつかの出来事や環境・状況と、こんにちまで維持している常軌的反応に気づくことができます。感情的な重要性の渦は、その初期に嵐を起こし、その後幾度もの成長(機会)の間中ずっと、プレイボタンが押されるたび再現されているようなものでしょう。−これらは、ホロスコープ内で鍵となるアスペクトの指針を時間をかけて明瞭にしていく考察です。重要なアスペクトとは太陽または月に対する強力なアスペクトであり、ルーラーシップを重視して考えます。とりわけ両親軸(4-10)、自己価値の感覚(2ハウス)、ASC、DEC(親密な関係)などに関するルーラーシップは重要です。

これら全てに対する理解と反応の仕方こそ、私たちの個性を構築する要素のほぼ全てです。私たちは連続的に傷ついた理想主義のフィルタ(太陽−水星、太陽−金星、金星−水星、さらに、木星、海王星の両方もしくはどちらか一方との統合)を持っているかもしれません。あるいは、それらは普通の成長をほぼ禁じる(熱狂的思想?)ほど厳しいレベルにまで高まるかもしれません。また私たちは極端な防衛に走るかもしれません(太陽や月を除くグランドトライン、ホロスコープの東半球強調 [「Analytical Techniques」アーカイブ記事などを参照ください]などで示されます)。挫折感(欲求不満)を怒りの中に深く隠し、抑圧する可能性もあります(12ハウス在住の火星によって暗示されることが多く、火星がASCに近いほど確実です)。

長期にわたり様々な状況を体験することで自身によってプログラムされた、数多くの「反応パターン」があります。それが「自分とは何者か」を定義しているのです。−しかし私たちはまだ、そこまで多くの「防衛」を必要としているのでしょうか。自慢の「理想主義」で、実用性のない物事を掌握したいのでしょうか。また、大切で身近な誰かに自身の挫折感を押し付けて「怒り」たいのでしょうか。

もちろん、分析とはこのような過程を言います。そしてこれは、創造的な占星家がクライアントと深く意義深い話し合いをするために、厳しいアスペクトや人生の成長過程の緊張について最善なかたちで考察し得る方法です。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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