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トランジットの考察(Transit Considerations)

Tyl HP Analytical Techniques, 30 Oct 2000


トランジットは「リアルタイム」の考察です。トランジットは現在の天体配置を示します。ホロスコープ研究において、コンピュータのトランジットプログラムにアクセスし、出生図との位置関係を示す二重円・三重円チャートを作成するよりも、印刷された天文暦でトランジットを確認するほうがより速く明確です。[−これに関して疑問の余地はありません。100年を「早見」できる天文暦(100年分)が「Synthesis & Counseling in Astrology」の巻末にあります(毎月1日の火星から冥王星まで)]

〜トランジットの解釈を有効に系統立てる〜
出生図に影響するトランジットを天文暦で調べる際には、まず冥王星の位置、次に海王星、次に天王星、次に土星..(以下略)の順に点検することを私はお勧めします。つまり、実際に最も遅く動く天体から、より速く動く天体へと順に見ていきます。土星のトランジットを単独で見て、そのあと冥王星や海王星のトランジットを探すやり方は全く効率的ではありません。遠い天体のトランジット(特にアングルが絡む場合)は、出生図の他のすべての天体の活動を左右する重大なものです。

〜時間のトリガー〜
分析作業の組織化の中でトランジットはタイミングのトリガー(引き金)となります。セカンダリー・プログレッションの月も非常に重要なトリガーとして作用します。主要なアーク(特にアングルに絡むもの)が示す期間は強調され、大抵の場合、同時期のトランジットのトリガーにより焦点が明確になります。

〜トランジットの速度を理解する〜
遠い天体(実際に動きの遅い天体)のトランジットが、なぜ動きの早い天体に比べ明確に影響力が強いのかを理解することは、現実的な分析に直結します[速度の遅いほうから順に、冥王星、海王星、天王星、土星、です] 。より遠い天体をより重大な出来事(や変化)に対応させることで、その「重大な出来事」(アクシデントではない)にまつわる期待や計画戦略、忍耐、意義の重要度に段階があることが分かります。人生における「変化」は、たいてい漸進的に起こります。

他の天体やアングルに対するトランジット冥王星の接触(コンジャンクション、スクエア、オポジション)は、逆行・順行(2年間に3回以上のこともあります)により繰り返し起こります。その期間中に他のトランジットが起こると、例えば性能の良いカメラでフォーカスを回転させ映像をクリアビジョン化するように、焦点を段階的に絞り込んでいきます。

今朝会ったクライアントですが、2000年3月に ソーラーアーク火星=アセンダントが正確に形成されました。彼女は現在、夫との離婚問題のさなかにいます。「さなか」という経過の感覚が重要です。ソーラーアークの実践においては、アークが正確に形成される半年〜1年前から影響範囲と見なします(アプライ)。採用オーブは非常にタイトでわずか1度強です。アスペクトが正確に形成された後半年間も影響が続く(セパレート)と考えます(2000年9月〜10月まで)。このタイミング(2000年10月30日)で彼女から連絡が入りました。

しかしこれらの前提として、トランジット冥王星がクライアントの太陽−月のミッドポイントにスクエアになっていた(6〜7年前、1993〜1994の期間ずっと)ことを下準備の段階で私は把握していました(これは「恋愛関係」の参考となる非常に重要な天体配置です)。−これは彼女と夫の間で仲たがいの緊張が始まった時期でしょうか? そうです。その期間(困難の出現時)についての議論は、今現在と近未来についての認識を助けるので非常に重要です。

トランジット天王星とMCのスクエアが2000年4月(2段落前に既述)に形成されたことを思い出してください。それが最初のヒットでした。2度目は2000年7月、そして最後は2001年1月に来ます。−離婚に至るのはその頃でしょう。それは彼女と彼女の夫が互いに自由になる時です..!

加えて、この過渡期をさらに強調するかのように、1999年丸々1年間と2000年の最初の半年間、トランジットの海王星が彼女のアセンダントにコンジャンクションしていました..!

上記は、トランジットの作用が現実を反映する分析においてどのように統合されたかの記述です。

動きの遅い天体のトランジットが形成する複数のヒットを気にしすぎないでください。どのヒットが重要な出来事を示しているかを尋ねているのではありません。それより、ここで明らかになるのは深遠で戦略上重要な意味を持つ、ある程度長い期間です。その期間中に何が起こっているか、他のトランジットで調べてください。そして最も重要なのは、ソーラーアークが語るその出来事の背景です [ほぼ90%の確率で、ひとつは見つかるでしょう]。

昨日カウンセリングを行なった、教育課程が未了の23歳のクライアント(男性)は、主要な変遷期の真最中にいます。2000年3月・8月・12月の3回、天王星がMCに対してスクエアになります。彼は言いました。「私は本来の軌道に戻るため何をするべきかどうしても知りたいんです。今のバーテンダーの仕事をいつまでも続けることはできません」

現在アプライで、その後2001年9月まで逆行・順行でトランジットする冥王星が、同時期に彼の出生の月にコンジャンクションします。これは非常に重要なトランジットで、漸進的な深い感情の変化、価値観の変化、そして射手座の月が示す生来的欲求(自分の意見を尊重してもらいたい:自分の考えや発言を意義深く重要なものと認めてほしい)に関する個人的見解の変更を暗示しています。

なんと豊かで面白そうな期間が、この有望な青年の前途にあることでしょう..!−背景のアーク(ソーラーアーク木星は9ハウスルーラーの金星とコンジャンクション)は、転職についての答え(天王星−MCのスクエア)や、射手座の個人的欲求の展望(冥王星−月のコンジャンクション)の強化を示しています。−私:「ジョージ、大学に戻るというのはどう..?」彼:「えっ..!実はそうしたいと思っていたんです!」私:「そうですね、あなたはきっと、今から9ヶ月間ほど一生懸命働いてお金を貯め、2001年春〜夏頃に大学に戻る計画を真剣に考えるようになると思います。そんなに遠い話ではないですよ」

おわりに:アークやトランジットのアングルへの接触(コンジャンクション、スクエア、オポジション)なしには9割方重要な変化は発生しない、ということを覚えておくのは、安全で賢明なことです。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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