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家族の危機の可能性を検証する

Tyl HP Analytical Techniques: Feb 28,2002  


1995年初秋、私はイギリス王室についての研究を記した文章の中で、1997年春〜夏に「王室の一員の死」があると予測しました(「Predicions For A New Millennium」223頁参照)。不運にも1997年8月31日、ダイアナ妃が自動車事故で亡くなられました。

事後、世界中の占星家が競うようにダイアナの事故について説明しました(当然ながら、事故は事前に把握し難いものです)。占星家は皆何かしらの答えを見つけたようですが、彼らが使用していたのは驚くほど複雑で秘教的な占星術技法でした。しかし事故以前、ダイアナのホロスコープに示されていたのは、彼女が人生における「新たな始まり」に近づいていること(トランジットの土星が4ハウスカスプに接近)、その「新たな始まり」は彼女にとって大変喜ばしいものであること(トランジットの天王星がアセンダントを支配する木星とコンジャンクション:限りない楽観性)、そしてそれはおそらく婚約あるいは結婚に関係するものであろう(トランジットの冥王星が7ハウスにあり、7ハウスを支配する水星とクインカンクス)、ということのみだったという事実は残ります。離婚にまつわる多くの怒りの感情はもはや過去のものであり(トランジットの海王星が2ハウスを支配する土星とのコンジャンクションから離れている)、彼女の人生は確かに、よりエキサイティングな形で新たに始まろうとしていました。


ダイアナ 1961年7月1日 午後7時45分 GMDイギリス・サンドリンガム生

悲劇は彼女の子供達や、離婚した夫チャールズ皇太子のホロスコープに詳細に示されていました。「家族の一員の死」を表していたのは、彼らのホロスコープだったのです。

彼らのホロスコープを研究することで、私たちは何かを学ぶことができるでしょう。天体配置の解釈はそれほど難しくありません。気づいたことを忍耐強く組み立てていきましょう。


チャールズ皇太子 1948年11月14日 午後09時14分 GMTイギリス・ロンドン生

チャールズ皇太子:ソーラーアークの火星は、正確に太陽と月のミッドポイントの位置に来ています(結婚や結婚相手、離婚相手に関する恐るべき侵害行為を示します)。同時にトランジットの天王星は、1997年春から夏にかけて7ハウス(パートナーや配偶者、元配偶者との関係を表すハウス)のカスプにコンジャンクションになっていました。さらに、ソーラーアークの月は10ハウスを支配星する火星とのオポジションにかなり接近しており、これは彼の社会的地位の変化を約束するものでした(実際には(子供達から見て)片親という立場になったことなどが該当すると言えるでしょう)。

端的に言えば、チャールズのホロスコープには、再度ダイアナとの間で(ダイアナを通して)動乱の起こることが暗示されていました。


ウイリアム王子 1982年06月21日 午後09時03分 GMDイギリス・ロンドン・パディントン生

ウイリアム王子:ソーラーアークの火星が冥王星とコンジャンクションになっており、出生の冥王星は10ハウス(両親に関連するハウス)と11ハウス(母親を示す4ハウスから8番目のハウス)の支配星です。また、ソーラーアークの土星は、アセンダントを支配する木星とコンジャンクションになっていました。これらは強力で苦痛を伴う、劇的な試練をもたらす配置です。


ハリー王子 1984年09月15日 午後04時20分 GMDイギリス・ロンドン生

そして最も顕著なのは「ハリー」王子 : のチャートです。ソーラーアークの冥王星が土星とコンジャンクションになっていますが、冥王星はMCの支配星、そして土星はアセンダントの支配星です。ソーラーアークの火星は1997年夏に彼のアセンダントに正確にコンジャンクション(つらい「壊滅」の時)し、同時期にトランジットの海王星が冥王星(MC支配星)とスクエアになっていました。

上記の天体配置の特徴は、彼らに厳しい状況をもたらす最悪の予兆となります。このような配置が家族のチャートで同時期に示されていれば、大きな損失や悲しみが予測されます。

このように、主要人物のホロスコープ(この場合はダイアナ自身)があまり「攻撃」されておらず家族のホロスコープにメッセージが表れる例や、敏感になりやすい天体の領域を家族全体が共有し(劇的に強い相性関係を示す配置であることが非常に多い)、鍵になるトランジットやアークさえ同時期に体験している例に、私たちは時々遭遇することがあります。

ダイアナの木星は水瓶座の5度にあり、チャールズの7ハウスカスプ(水瓶5度)に正確に重なっています。彼女の木星に対するトランジット天王星の合は、チャールズの7ハウスカスプに対するトランジット天王星の合とは全く異なる「感覚」を持つものでしょう。

2人の王子共にアークでの冥王星・土星・火星の接触があります。2人ともMCが蠍座(支配星は冥王星)で、父親のホロスコープ内の蠍座の水星や太陽と関連しています。

アークやトランジットの通過に伴う体験の場としての相性関係を示す配置は、この家族の絆の強さを非常に明確に表しています。

1年程前(2001年初旬)、あるクライアントのホロスコープの未来の表示を普段どおり分析している時、彼の仕事上の厳しい展開や、結婚に関する強い緊張の表示が未来に存在することに私は気づきました。彼は当時、すべてはうまく行っており、変わりない日々を送り、仕事で昇進することにひたすら集中していると答えました。家庭に関して、表立って心配なことは何もなかったのです。

このクライアントとの仕事(カウンセリング)の歴史の中で、私は彼の妻のホロスコープと、さらには2人の幼い子供達のホロスコープ(出生時に作成しました)を持ちあわせていました。

このクライアントのカウンセリング後に、私はこの父親の家族、つまり、彼の子供達、そして彼の妻のホロスコープを分析し予測を立てました。家族のホロスコープには、これから展開していく運命(そう呼んでよいならば)としての結婚生活に関するトラウマが驚くほど明確に反映されていました。この時私のクライアントは、目を大きく見開き、穏やかな話し方で「家族については全て順調です」と言ったということを覚えておいてください。

私が何を見たかをここに記します。

私のクライアントであり、この家族の父親である彼のホロスコープでは、2002年を通してトランジットの冥王星が彼のMCにコンジャンクションになります(2002年1月〜)。トランジットの天王星は、2002年3月に水瓶座のアセンダントに正確にコンジャンクションし、(その後逆行して)最後のヒットは2003年1月です。

さらには2002年5月にトランジットの土星が4ハウスにコンジャンクションし、10月にはソーラーアークの土星がMCにスクエアになります。

これは非常に強力です。状況の展開における「緊張」は、2002年3月〜5月に集中しており、年末頃に一段落する見通しです。

彼の妻のホロスコープでは、2002年1月にトランジットの天王星がMCにコンジャンクションになります。その後、2002年6月にはトランジットの土星がアセンダントにコンジャンクション、同時にトランジットの天王星が再度MCとコンジャンクションします。ちょうどその頃、夫のホロスコープではトランジットの土星が4ハウスカスプにコンジャンクションになります(彼の4ハウスカスプと彼女のアセンダント、そして彼女のMCと彼のアセンダントはコンジャンクションになっており、強い結びつきがあります。2人のアングルは同時に刺激を受けることになります)。

その後、2002年の終わりには夫のソーラーアークの土星がMCに到達し、同時期に妻のチャートでソーラーアークの火星がアセンダントに到達します。

5歳になる上の子供のホロスコープでは、2002年1月から2月にかけてトランジットの冥王星がMCにスクエアになり(彼のMCは父親のMCと正確にスクエアになっています)、その後トランジットの土星は太陽とコンジャンクション、MCにスクエアになります(彼の太陽は父親のMCと正確にオポジションです)。

3歳になる下の女の子のホロスコープでは、2002年5月から6月にトランジットの天王星が月(アセンダントの支配星)とコンジャンクションになります(彼女の月は父親のアセンダント上にあります)。

これは家族の危機であることに間違いありません。

このように明確なケースでは、ぜひ自問してみてください。「なぜ、(事態は)起こらなくてはならないんだろう?」

今朝、この家族の父親である私のクライアントから「混沌状態」に関する相談の電話がかかってきました。2002年2月中旬の今、すべては起ころうとしています。「年表」が具現化しようとしています。

私の仕事は、変遷の過程で優雅さと尊厳を保たせ、彼の人生を通して続く女性による押しつけに関する彼の弱点を説明し、彼の感情の傾向(出生の金星が蠍座、逆行、海王星とコンジャンクション)に関する最終的な気付きを起こさせ、覚醒した自己像を主張させる(出生の冥王星がアセンダントとクインデチレ)ことです。

未来の見通しは、彼の助けになりました。今や彼は、次のような未来の状況を疑いなく受け入れることができるでしょう。彼のチャートでは、2004年の2月にソーラーアークの月が7ハウスを支配する太陽に接触、同時にトランジットの天王星が彼の太陽とスクエアになり、トランジットの天王星は彼の10ハウスを支配する木星とコンジャンクション(「大きな転機、限りない情熱」)になります。これは、良好な対人関係を高い確率で示しています!

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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