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矛盾するシンボリズムの解決(Resolving Conflicting Symbolisms)

Tyl HP Analytical Techniques March 30, 2002


今回は極端に技術的にならず、いくつかの矛盾の解決(例えばひとつの蛇口からお湯と冷水の両方が出せる、という程の)に役立つ原則を見ていきましょう。これらの原則は、古典的アスペクトや、出生図及びソーラーアークにおけるミッドポイント・ピクチャーの解釈に役立つものです。

火星−土星:これは「熱」と「冷」の組み合わせです。 火星は欲求の実現のために、エネルギーをいかに独特に使うかを表す表示です。例えば、山羊座の火星はエネルギーを一方向に使う必要があるのですが、魚座の火星なら傾向がまた全く異なります。こういった違いは明確になっています。

土星は、言わば不可避の「統制」の暗示です。「統制」は、私たちの表現や成長の最終的効率化のために、必然的に内在しています。訓練、制限、導きは、例えば力強い川の流れを管理したり、電流の方向の焦点を合わせるという具合に、人生の道程の狭路や困難を通じてその個人を導くためにいずれも必要なものです(象徴として父親的懲戒、超自我、権力者、宗教神などがあります)。

これらの考察を合わせると、本質的エネルギー(火星)が不可避の「統制」(土星)と戦う、ということが分かります。その過程では、手詰まりや厄介な優柔不断などが頻繁に生じます。解決策としては、入念な選択の末どちらか一方を優先することが多いでしょう。「あなたがそっちでものごとに厳格(土星)なことを許容するから、こっちで私が栄える(火星)ことも許してね」というイメージでしょうか。

火星・土星のタイトなコンジャンクション(経済観念や倫理、形式主義などにより訓練(正当化)された、高尚な所信)を射手座に持つ女性クライアントの例ですが、この火星・土星はMCとクインデチレになっています。「熱」と「冷」のブレンドは、レーザー光線のように鋭いエネルギー焦点を彼女の職業生活にもたらすでしょう。彼女はどんな解決策を取るでしょうか。

彼女の土星は、太陽/月のミッドポイントに対してスクエアでもあります。これは親密な関係における「憂うつ」にまつわる圧倒的で不可避なテーマを提示しています。− 彼女の親密な関係は「犠牲」になったと考えられます。この推測は、7室支配で天王星とスクエアの海王星によって確証を得ます。44歳のこの女性クライアントは、自身が企業した会社のトップであり、ここしばらく親密な対人関係を築く状況にないということでした。

ここでの原則は、火星−土星間に存在するある種の「契約(取引)」を見つけることです。もちろん、どんなエネルギーも完全に失われることはありません。統制(管理)がどこかで効果を発揮すると、それは自由にエネルギーを発揮できる何らかの場を提供することになり、結果として全体の機能バランスの形成に役立つでしょう。

天王星−土星:この組み合わせは、アバンギャルドと因襲性との衝突を示します。自由主義者と保守主義者。新しいものと古いもの。この2つの力のシンボルがコンジャンクション、スクエア、オポジションを形成していれば、その個人の人生の成長過程に「分極する緊張」が確実に存在するでしょう。しかしこのアスペクトは、当人が重苦しい過去をついに捨て、言わば「Let's get out of Dodge!(患者の処置を完了しよう)」というようなイメージで、自分をダメにする縁や達成不全の状況から自己を解放するという、非常に良いサインであることが多いです。言い換えれば、やがては天王星が勝利するということなのです。
(訳注:抜け出そう(LET'S GET OUT OF DODGE): 患者の処置を完了しよう、という救命医療でのかけ声。「Come'on. Let's get out of Dodge」はスラングで「とっとと、患者の処置を終わらせよう」という意味です)

法王ヨハネ・パウロU世は、天王星とオポジションでライジングの土星を持っています。そしてこの土星-天王星軸は、非常に理想化された9室牡牛座在住の天体グループとスクエアになっています。彼個人(または「教会」)の因襲的な過去からの指令と、自由な現在・未来に関する要求との間で、彼の理想主義は強く衝突します。法王は、行動の発起や決断がなかなかできないように見えます。聖職者の独身の誓いからの解放論争は長い間続いています(法王の火星は天秤座在住で弱く、逆行でノーアスペクトです)。しかし、窮地におかれた天王星の力が、伝統的な過去からの統制(管理)をしのぐことを私たちは知っています。

今月の「Notebook」に、同性愛者であることを決して公的に認めなかった有名人(男性)のホロスコープの紹介がありますので、ぜひ一読ください。8室支配星の太陽と天王星のスクエアは、性的側面の一部を示しています。太陽は8室在住の土星ともスクエアです。2つの圧力が存在しています。秘密主義によって土星は「勝利」していたのですが、彼がエイズにより亡くなったことを公的に承認するため秘密はついに明らかにされ、最終的には天王星が「勝利」しました。

木星−土星:「グレートコンジャンクション」と呼ばれるこの組み合わせは、賢明なる開発(発展)と戦略的節減の間の理想的解決を示し、「法と秩序」の理念に焦点を合わせるものです。これは最も高度な訓練です。個人のホロスコープでは、「主張を通す( 立証する)」というテーマがあります(木星と土星のコンジャンクション、スクエア、オポジションがあれば必ずそうです。2天体間で他の種類のアスペクトが形成されている場合にも、しばしば同様のことが言えます)。「このカウンセリングで検討してきたあらゆることは、どんなポイントを立証しようとしていると思いますか?」という占星家の質問は、カウンセリングでの討論の最終目的になるほど当人にとって重大な意味をもつでしょう。この配置を持つクライアントはほとんど例外なく、人生における自身の活動を立証しようとする傾向があります。..これは力強く、深遠な推測です。

マンデン占星術では、木星と土星がおよそ21〜22年毎に形成する「グレートコンジャンクション」は、偉大な宇宙の活動力を地球意識へもたらすものと見なされます。1980年の木星・土星のコンジャンクションは、サウジアラビアのメッカの位置で正確にライジングになりました。これはイスラム社会においては「正義の上昇」の合図であると強調されましたが、残念なことに現実には国外での対立や改宗の強要などの破壊的表示となりました。

天王星−海王星:この組み合わせにおける原則は、激化と鎮圧(隠ぺい)との衝突です。その力は非常に強力で、個人的には完全に正当化されているが、客観的には混乱した型破りな方法による革命の道を示すでしょう。また、世を正そうという動機を持ちやすい世代の表示でもあります。

上記の女性クライアント(火星−土星の記述部分)ですが、7室支配の海王星が、6室支配の天王星とスクエアになっており、恋愛関係は仕事と並立できず犠牲になりました。親密な関係を維持するための協調的な働きかけ(6ハウス)が軽視されたために、関係は継続しませんでした。ある意味で「投げ出した」ことに起因する個人的関係の欠如は、職業優位の彼女の姿勢によって完全に理解・正当化されていました。

上述の統合のポイントは、分析の準備に非常に役立つはずです。クライアントの成長(発展)の情況に合わせて、統合のポイントを考え抜いてください。豊かで重要な会話の中でクライアントの支持や順応を引き出す、深くピンポイントな質問を考えてください。そしてカウンセリングが正しい軌道に乗っていることを確かめてください。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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