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不可欠な太陽/月のミッドポイント(The Indispensable Sun/Moon Midpoint)
...アーカイブの1999/12/30の記事もぜひ再読ください。

Tyl HP Analytical Techniques January 29, 2003


すべての占星家は、人生発展の原動力となるシンボリズムに精通する必要があります。エネルギーは太陽に象徴され、そのエネルギーは、生きている私たちの本能的欲求に焦点化されます。144通りの太陽と月の極性がグラン・ルイ著「Heaven Knows What」(レウェリン出版)や、他数名の著者により雄弁に解説されています。私の著書「Synthesis & Counseling in Astrology 」では、人生の発展を推進する主要な欲求を定義する劇的な心理の方向性や人生展開に関わるエネルギーについて、意図して簡潔で実用的な提示をしています。

私たちは、自身の太陽−月の極性から決して逃がれることはできません。太陽・月に対するアスペクト(2000/11/30の記事参照)やホロスコープの半球の強調(1999/7/15の記事参照)、そして、欲求の象徴としての個々の天体のアスペクト絡みで起こる現象学的な出来事などにより、「料理本」的な記述は即座に修正されます。

当然ながら、最も強力なのは太陽と月のミッドポイントです。これは「ライツ(太陽と月の別な呼び方、ルミナリーズ)」自体の評価を深める付加的な分析です。太陽/月のミッドポイント(注:ミッドポイントは「/」スラッシュで表記します)に対してスクエア、オポジション、コンジャンクション、またはクインデチレになっている天体は、人生を支配するでしょう。他の強力な要素は、太陽/月のミッドポイントと関連して、太陽−月の極性の核心的意味を深めます。

まず最初に、太陽/月のミッドポイントに関係する天体を系統的に分析してください。[著書「Synthesis & Counseling in Astrology」の783頁に、これについての記述があります]

例えば、あなたの太陽と月の極性の統合について考えてください [「Synthesis & Counseling in Astrology」の76〜102頁を参照ください。] また、水星の理知性の程度の考察を加味してください〈水星=太陽/月〉。この人の心(理性)が、他者との親密な関係や、達成・業績・人望などについて計画に余念がないことに気づくでしょう。これはせわしないミッドポイント・ピクチャーです(重大な修正がなければですが)。そして当人はこれを、特筆すべき個性として利用するでしょう。

ここに火星がある場合はどうでしょうか。もちろん水星とは異なります。親密な関係を維持する、もしくは壊すために強力に作動する、顕著な自我表現エネルギーの存在が予見できます。成功に向かって自己を駆り立てる衝動が確実にあり、それは明白な際立つ個性の特徴となるでしょう。− もしこれが個性として明確でない場合は、それを抑圧する環境の有無を調査すべきだと思います。

土星が関わっている場合はどうでしょうか。禁止(抑制)と分離の体験の中でいつも問題を引き起こしてしまうという、親密な関係における困難が予見できます。それは心身の健康の土台さえ揺るがすでしょう。この配置は気軽なピクチャーではありません。例えば、出生図にこの顕著なミッドポイント・ピクチャーを持つ有名な女性弁護士は、18歳の時に性的暴行を受け、その後35歳までの間に、結婚(あるいは親密な関係)とその破局を3回ずつ体験していました。

強く関わる海王星はどうでしょう。− 太陽/月にコンジャンクション、スクエア、オポジション、クインデチレの海王星。親密な関係におけるたくさんの誤解(不和)が予見できます。詐欺(やごまかし)さえ有り得ます。少なくとも、不満をたくさん抱えていることは確かでしょう。

上記のような「状況」が動かしがたいものであると断定することは分析の主要な目的ではありません。むしろ、これらの事情(詳細)の発生経緯と程度問題に関して、当人の生活史に証拠を探すべきです。そしてなぜそれらが起こるか、また効率的な対人関係を築くためにその状況をどう調整するかについて、私たちはクライアントと共に考えなければなりません。

水星の場合は、「関心」はまさに自分の人気(人望)に関すること−愛らしい存在であるという感覚を確認すること−ではないでしょうか。火星の場合は、関係の変遷の過程で監視されたり、利用されることへの恐怖かもしれません。土星なら、実在しない、もしくは荒涼として気が滅入るような幼年期の親のイメージを原因とする深い傷など。海王星の場合は「共感」や、人間関係を活発にするコミュニケーションを身に付ける方法が存在しないことなど。また理想主義の限界、または深く沈鬱な弱い自己イメージを補強するごまかしの積み重ねなどのテーマも関連するかもしれません。

これらすべての可能性を考え抜いてください。もちろん、金星、木星、天王星、冥王星も含めてです。

太陽/月のミッドポイントという象徴の分析感度は特別に高く、この太陽/月ミッドポイントにトランジットやアークがアスペクトする場合にも反映されます。− 成人してから、このトランジットやアークが形成される場合、人生の展開の物語を確実に点検できることに疑問の余地はありません。現実に、ほぼ90%の確率で出来事が起こります。

私の生徒達は、この分析テクニックを徹底的に学びます。彼らは自身のホロスコープに、太陽/月のミッドポイント位置を目立つように書き込みます。その位置に対するアークやトランジットの接触を彼らは瞬時に見つけます。

金星=太陽/月 の配置の時期に恋愛関係の恩恵を亨受できていない人がいるでしょうか。天王星=太陽/月、もしくはトランジット天王星=太陽/月 による緊張・混乱傾向や、冥王星=太陽/月 (アークやトランジットとの関係を含む)が示す権力闘争について、あなたはどう見ますか..?

社会的に有名なビル・クリントンは、海王星=太陽/月 [出生の太陽/月のミッドポイントに 出生の海王星がオーブ2度以内(推奨範囲です)でスクエアになっている] を持っています。


ビル・クリントン 1946年8月19日 午前8時51分 Hope AR

ウールワースの財産相続人で億万長者のバーバラ・ハットンは、7回の結婚をしています。彼女の金星は2室と7室を共に支配しており、この金星は太陽/月のミッドポイントに正確に位置しています。


バーバラ・ハットン 1912年11月14日 午後2時25分 in New York City

ジョン・F・ケネディ [1917年5月29日 午後3時00分 in Brookline MA] は、太陽/月のミッドポイントに土星と海王星(オーブ5度でコンジャンクション)があります。土星が4室(父親)を支配していること、海王星が6室(7室から数えて12番目)を支配していることに注目してください。この土星−海王星はMCにあります。


ジョン・F・ケネディ 1917年5月29日 午後3時00分 in Brookline MA

アーノルド・シュワルツェネガーはASC=太陽/月 を持っていますが、彼の肉体的表現がいかに彼自身を有名にしたかに注目してください。− このミッドポイント・ピクチャーもまた「知名度に定義される人生」の指標となっています。


アーノルド・シュワルツェネガー 1947年7月30日 午前4時10分 CED in Graz AUSTRIA

<相性判断>相性判断では、誰かのある天体が、他の誰かの太陽/月のミッドポイントにシャープなアスペクトを形成していたら、そこにはまさに不可避な親密な関係の「ピクチャー」が存在しています。

クライアントの太陽/月のミッドポイントに対して、極めて敏感であってください。もし力強い配置が構成されていなくても、トランジットやアークがそれ(太陽/月)を展開させます。現実の親密な関係の問題がどのように展開し、どのように管理されるかは、クライアントの世界観に関連した人物寸描の鍵となるでしょう。

人生初期の数年間においては、太陽/月のミッドポイントへの刺激(活性化)は、家族内での対人関係や、家族の状態や発展に反映されるでしょう。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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