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-ノード軸についての再考-

Tyl HP Analytical Techniques 2003 Feb 28


25年程前に、私は月のノード軸についての現象学的な洞察を公式化し、研究を続けました。「ノード軸は母親のアーキタイプを表しています。そしてノード軸と天体あるいは感受点がコンジャンクション、オポジション、スクエア、クインデチレ(オーブ2.5度以内)を形成している場合、その天体や感受点の領域に母親(女性)問題の影響が存在します。」この見方は西側諸国において10万件以上の例で確実に検証され、多くの占星学の文献の中で語られるようになりました。

月のノード軸(ミーンノードまたはトゥルーノードを使用しますが、ミーンノードが望ましいでしょう)が、地球から見た太陽(男性)の見かけ上の通り道(黄道)と月(女性)の交差点を示す、という仮定にもちろん基づいたものですが、研究を進める中で「ノード軸は受胎の象徴的意味や生殖力、女性や母親の領分を表す」という明確な見解に達し、私はこれを記しました。

ソーラーアークやトランジットの動きに関連したグループ活動、会合、面談、一般大衆との関わりなどの現実の出来事をきっかけに、この重要な出生の所見は正体を表し始めます。それは月のノード軸の伝統的な「落とし穴」なのです。

ここ数日に扱ったホロスコープにおいて、月のノード軸の象徴的意味は大変重要であり、分析と予測の要となっていました。 ここではそのいくつかの例を見ていきましょう。

最初の例は、ノード軸に月がコンジャンクション、土星がスクエアになっている女性弁護士です。カウンセリングの所見で、しつけに厳しく強烈な性格の母親が、長年にわたり彼女を批判し続けていたことが明らかになりました。彼女は40代で独身です。カウンセリングのポイントは、他者にとって自分が大切な存在であること(彼女のホロスコープの西側(主に対人関係を表す)への順応性を最も良いかたちで実現すること)を彼女自身が受け入れなければならない、という点でした。今後の彼女の人生を良い方向に導くと思われる、数ヶ月以内に訪れる職業上のチャンスを活かすためにもそれは不可欠でした。

次の例は、ノード軸とMCに月がコンジャンクションで、逆行の土星がそれらに対しスクエアを形成している管理職の男性です。カウンセリングの早い段階で、彼にとって母親が「すべて」であることが明らかになりました。彼の父親は軍人であり、幼少期からほとんど彼の身近にはいませんでした。父親不在というしつけにおける不均衡(調和が乱されゆく過程)は、強大な防衛的行動パターンと孤独を彼にもたらしました。この状態はおよそ22年間強力に延々と続き、その後(就職後)15年以上の期間も彼はその影響の余韻の中にいました。

冥王星のソーラーアーク=ノード/Asc「自分の昇進のために他者を巧みに使う能力」の時期は、このクライアントにとって大変重要な自己の現実(大人としての職業上の課題)を再認識する機会になるものと思われました。私たちはこの指針に基づいて戦略を立てました。

女流作家のクライアントは、ノード軸とコンジャンクションのペレグリンの天王星(自己価値感を表す2ハウスの支配星)と共に、月と冥王星のオポジション(母親問題の別の表示)の配置を持っていました。この女性の母親は著しく「支配的で批判的」でした。

彼女の出生図には「成功を目指し他者と共に働く」ことや「活発で豊かな交際」を表すノード=木星/冥王星がありましたが、それを打ち消す「内気で孤独な」Asc=土星/ノードの配置が存在しており、天体配置からの推測は一見矛盾するものでした。

実際彼女は、富豪の父親の仕事関係者(裕福な人々)の団体と常に関わっていましたが、自己非難の姿勢から自分を弱く小さくし、批判的な母親の影響力の中へと後退していました。

次の例です。ある青年が、夜間に大学の勉強をし、昼間は仕事をしたいと言いました。彼の両親は、息子が「意外にも」大学を中退したため、道を踏み外し始めたのではと感じ、状況の悪化を事前に防ぎたいとかなり気を揉んでいました。

彼のカウンセリングを始めるに当たり、私は次のように言いました。「ジョージ君、今日のカウンセリングはきっと君に役立つものになると思う。では始めましょう。まず、君の「光」が去年の9月から消えてしまっている理由を教えてほしい。それは恋愛関係の悩みですか?」--「恋愛関係に影響を及ぼす強力な焦点と宿命の引力」を表すソーラーアークの冥王星=月/ノードや、「恋愛への執着」を表すMC=金星/ノードの配置とともに、「困惑」を示すソーラーアークの海王星=月(彼のアセンダントルーラー)の配置があるのを見てそう尋ねたのですが、この読みは当たっていました。

失恋と大学中退の痛みから引きこもり、方向性を全く見失っていることを彼は正直に話し、そこから抜け出さなければならないと決意しました。カウンセリングの中で、私たちは復学という妥協案を立てると同時に、就職ついても検討しました。

このカウンセリングは2003年の2月に行なわれました。クライアントのセカンダリープログレッションの月がノードにスクエア(他者との関係発生の表示)、トランジットの火星(10ハウスの支配星)が太陽(2ハウスの支配星)に対しオポジション、そして「世界の中での自分の位置を知る」MC=月/Asc という配置に私は注目しました。アスペクトの正確なタイミングは間近に迫った2月24日(月曜日)でした。この日は仕事探しを始めるのに良い日だと思う、と私は彼に伝えました。大変驚いたことに、彼はその特別な日に自分の町で開催される「就職説明会」で、およそ60人の未来の雇用主に会うことをすでに計画していました!

彼を私のもとに向かわせたのは彼の母親でした。彼女は、彼のホロスコープにおいて天王星とスクエアを形成しているノード軸そのものでした。

ソーラーアークのノードと出生の太陽、月、7ハウスの支配星、金星、火星との接触(主にコンジャンクション、オポジション、スクエアを見ます)、またはソーラーアークのそれらの天体が出生のノードに接触する時期に起こるさまざまな現象を私は数多く見てきました。その効果を確認するのは簡単です。あなたのクライアントに「その月にはどんな出会いがありましたか?」と尋ねてみてください。

相性においては、ノードに対する天体または感受点の接触は、私たちが認識することのできない(人から人へもたらされると考えられる)奥深い必要性を内包しています。それは、現世の人間関係で再現されている過去世の人間関係に起因するものかもしれません。この魅惑的なテーマの議論をさらに深めるために、グレイス王妃とレーニエ大公、ヒットラーとエバ・ブラウン、マーチンとルイス、ブッシュとクエイルなどの関係を例に取り上げている私の著書「The Astrology of Intimacy, Sexuality & Relationship」をぜひ参照してみてください。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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