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両親を見る4つの方法

Tyl HP Analytical Techniques 2003 May 01


人生の発達についての豊かで敏感な心理学的分析において、人格形成期の手本である両親との関係やその影響を調査することはとても重要です。そこには程度の差こそあれ、多彩な成長の緊張が必ず存在します。ホロスコープのホログラムにおいてアセンダントが常に両親軸とスクエアであることからもそれが分かります。

手本としての両親の状況や、両親との関係の性質、また両親との争いから生まれる緊張などを査定することが、分析を進める上での会話の目的となります。そして最も重要なことは、自己評価(防衛機能)や、自分が愛される存在であるか否かを常に気にする傾向(親密な関係を台無しにするもの)や、他者と関わる際に個人が日常的・本能的に採用する安全確保の方法を調査することです。問題となるのは「程度」です。両親にまつわる体験を個人が「どの程度」そして「どのように」吸収してきたかを知ることが重要です。それは、生得権の上にある個々人の「本来あるべき姿」を支配し「現在の姿」を形造っています。

[この研究テーマは私の著書「The Astrology of Intimacy, Sexuality & Relationship」の中でさらに発展させています]

ホロスコープから両親の人物像を判断する方法は4種類あります。

土星の現象論において、逆行の土星は「父親からの」影響の重大性を記録するものです。逆行の土星は、人生初期に父親がいなかったり、いても受動的または事実上不在、あるいは独裁的であったりして、信ずべき愛情の指導がきちんとなされなかったことによる劣等感の遺産を持つ可能性を示しています。[この発見に関しては「Synthesis & Counceling in Astrology」で深く追究していますので参照してください]

社会的に定義された父親の影響力を思い出してみましょう。「父親」とは最初は、赤ん坊が出会う正体不明の「見知らぬ人」に過ぎません。しかしその「父親」は、家族を発展に導く指導力や、個人的価値観を反映させること、またさまざまな権威者の手本として絶対的に重要な働きをします。

逆行土星の研究とともに、月のノード軸に関する発見もあります。ホロスコープ内の天体や感受点と強力に関係するノードは、母親/女性の影響力を描写します。[「Synthesis & Counceling in Astrology」での膨大な研究も参照してください]

ホロスコープ分析において、土星とノードは人間科学に現存する最も強力で直接的な人生初期の発達の指標になります。

2番目のカギは両親軸(10-4)のシグニフィケータを通した解釈です。10ハウスや4ハウスに在住する主要な天体が焦点となることもありますが、明確かつ一般的で9割以上の信頼性がおけるのは、10ハウスと4ハウスの支配星です。この支配星が強い緊張の配置にある場合、現実の両親の状況の「緊張」も推測されます。この点に関する熟練した質問から、クライアントとの実り多い会話を始めることができます。

太陽と月は男性と女性を示す最も重要なシンボルであり、それぞれ父原理・母原理と確かに関係しています。しかしどちらかというと、夫婦としての両親の関係において表現される男性原理・女性原理のほうがより強く表示されていると言えます。もしネイタルチャートで太陽と月がタイトなスクエアを形成していたら、出生の頃の両親の間柄はほぼ間違いなくかなり緊張したものであり、それはもしかしたら本人の出生時刻に関係しているかもしれません。多くの場合、産声を上げたその時からこの刻印は苦痛をもたらし始めます。

土星やノード、両親軸の支配星の緊張で「扱いにくい親」のプロフィールが暗示されていて、同時に太陽と月がトラインを形成しているケースもあります。これは保守的な理想化された防衛と言えるもので、親がどうあるべきかに関する本人のイメージであり、必ずしも親の現実を表しているというわけではありません。

太陽や月に対する強いアスペクトは、状況をより厳しいものにします。特定の親との関係についての潜在的評価(第三者的な評価)を導くのはそのアスペクトです。

両親について見る4番目のカギは、ホロスコープのアングルを鋭く意識することです。占星術では、アングルはすべてにおいて重要です。なぜなら、それらは地球における私たちの誕生の時間(MC)と空間(アセンダント)を定めるものだからです。アングルは個人の人生の方針を定義します。[同様に、重要な失見当をも定義します。例えばアンギュラーの混乱は、自殺の問題につながることも多いものです。「the Astrological timing of Critical Illness」を参照してください]

10-4のアングル軸(あるいは4-10です。方向は現代では重要ではありません)を通して両親像を明確に把握するにあたり、アセンダントは親を表す4ハウスから10番目であり、7ハウスはもう一方の親を表す10ハウスから10番目のハウスであることを思い起こしてください。[「Synthesis & Counseling in Astrology」の中の「Derivative House Systems(派生ハウス)」の章を参照してください]

人生初期の家族構造の情勢は、特別なトラウマや離婚などによる両親の絶縁、社会的地位(両親の仕事に関連するもの)の状態、移転など、数多くの変化をもたらします。考慮すべきこれらの事態すべてが、夫婦としての両親の関係に影響し、ひいては両親の子供に対する関わり方や、その家庭環境への子供の反応にも影響を与えます。これがモデリング(手本)です。

******あらゆるホロスコープの解釈において、私たちは家庭情況の本質を見つけなければなりません。この探索と査定を避けることは、変容の過程について私たちが持つべき意識のレベルを低下させ、クライアントの人生の発展が最終的に太陽に到達するよう援助する私たち占星家の有用性を希釈してしまうでしょう。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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