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6ハウスに光をあてる

Tyl HP Analytical Techniques, Aug 30,2003


ホロスコープを分析する上で、6ハウスの理解と扱いは他のどのハウスよりも難しいと私は思います。古今、分析指南のため6ハウスに与えられている説得力のないレッテルを考えると、このハウスは昔から占星家にとって難しいハウスだったのではないかと感じます。まずは「使用人、ペット、健康」と分類され、のちには「他人への奉仕、職務条件、健康」。その後は「協力の動的特性、雇用、食生活や健康」などとも言われています。進歩していることは明確ですが、用語は未だに曖昧です。「協力の動的特性」とは、実際には何を意味するのでしょうか。10ハウスとの兼ね合いで「雇用」はどんな意味を持つのでしょうか。「健康」と12ハウスとの関係は?「食生活についての関心」は、ハウスというよりサインの守備域ではないのでしょうか。

指針としてのこれらの呼び名は、刺激的かつ明確なものです。現代における6ハウスのテーマに「協力の動的特性」という概念を加えたのは私ですが、その定義に自分自身完全に満足しているわけではありません。皆さんと一緒に6ハウスを深く掘り下げ、理解を深めたいと思います。これは私たちにとって有意義な考察になるでしょう。

<協力の動的特性>
6ハウスに関するこの見方は、5つの考慮点の集約が示唆しています。そしてこれはおそらく、長い間6ハウスが「使用人」と定義されてきたことの理由でしょう。

まず第1に、ホログラムのように相互関連するホロスコープの体験領域において、6ハウスは7ハウスから12番目のハウスであり、潜在的には対人関係の崩壊、好意的解釈をすると対人関係を築いていくための支援、と考えることができます(社会の体験サイクルで培った全ての学びにより再生する という、まさに12ハウスからアセンダントへ到達する動きのように)。

第2に、6ハウスは職業を示す10ハウスとトラインの体験領域であり、2ハウス(自尊心、金銭)−10ハウス間に存在する体験のつながり(トライン)と似た性質を持っています。10ハウス、2ハウス、6ハウスは人生において「合唱」します。この調和は、私たちが仕事に対し心理的及び経済的に自信を持つ助けになります。そしてそれは、7ハウスの動的特性である対人関係での融合や、配偶者との共生・協力・支え合いをスムーズにします。

第3に、6ハウスは10ハウスから9番目なので「仕事における法律」、つまり仕事においてどのように振る舞うことを期待されているか、そして実際にどう振る舞うかを表します。

第4に、6ハウスは(体験領域という視点では)私たちの考え方、表現の仕方を表す3ハウスと常にスクエアの関係になっています。これは何を示すでしょうか。この緊張がもし解消されなければ、そしてもし仕事仲間とうまくやっていけなかったり仕事そのものが合わなければ、私たちは不満を抱え、何らかのかたちで病気になるでしょう。規則に従い、協力的になり、関係性を成長させていかなくてはなりません。あなたと私がいつも意見を違えるなら、それは関係の発展の可能性の終焉であり、相互に協力して行う仕事の終わりとなるでしょう。考え方を表す3ハウスが10ハウスからの6番目であることはとても興味深いことです。自分の仕事に自分がどの程度「同期」するかを、「考え方」が決めるのです。[2ハウスが3ハウスから12番目だということにも注目してください:自尊心の輪郭が貧弱であれば、考え方に制限がかかり、仕事にも影響します。協力関係の動的特性は色々な形で崩壊します]

そして5番目ですが、6ハウスの領域はアセンダントにクインカンクスになっています。つまり、関係を維持するために、仕事や生活の中でエゴの調整をする必要があるということです。

極端で手に負えないような6ハウスの表示が、職場の雰囲気の撹乱や仕事に対する無関心(おそらくあらゆる組織的な仕事に対して)を示し、それがその個人の考え方の一部を形成するという推論は論理的に成り立ち、経験的にも補強されています。私がそのよい例です。私の6ハウス蠍座を支配する冥王星は水星とオポジションであり、その軸に火星がスクエアになっています。この配置は大変活発な知覚力や膨大なコミュニケーション能力を約束するものである一方、形式ばった状況下では周囲が動揺するような振る舞いをすることも示しています。私は組織など協力的環境の中で他人のために働いたことがほとんどありません。常にソロ活動でした。期待の境界線を破る人間でした。これは確かなことです。私の職業生活において、そういったポジションに自分を置くことは常に優先事項でした。私の月は3ハウス獅子座にあります。「なぜ私が会議に参加しなければならないのだろう?」といつも感じています。

ジャクリーン・オナシスの6ハウスの支配星は火星で、木星とスクエア、ノードとトラインになっています。これは拡大のエネルギーの強さを使い、他者に対し生産的な行動の手本を数多く作っていく表示です。

チャールズ皇太子は、例えれば圧力釜の強烈な圧力に適応し続ける、といった特徴を持っています。6ハウスを支配する土星は彼の月や木星、ノードとトラインになっています。彼は仕事上の振る舞いの規則や考え方を受け入れます(3ハウスを支配する水星が土星とセクスタイル、ノード軸とコンジャンクションです。これは母親の支配が行き渡る表示です)。

ダイアナ妃の場合は、6ハウスおよび7ハウスの支配星の水星が逆行して7ハウスに在住し、アセンダントに対し正確なクインデチレを形成しています。これは自分の意志や考えによる行動を重視することを強く示しています。一方、この水星が逆行していることから、王室側からの規制など対比するテーマの存在も示されています。

向こうみずなイーヴィル・ニーヴィルの6ハウスは蟹座で、月は天王星とスクエアになっています!

アーノルド・シュワルツェネガーは、6ハウス支配の木星が冥王星とスクエアになっています。自分のための新たな展望の確立や、自身の力や才能の実感、実務能力から構築される大きな目標、協力が必要な状況で競争心の働く性格などについて、この天体配置は何を教えてくれるでしょうか。

<健康問題>
お決まりのように「健康」を見ると言われる6ハウスですが、病気に関する出生の特徴や、重大疾患発症時の天体配置の特徴に関する私の研究(「The Astrological Timing of Critical Illness」を参照)においては、一貫して重要な役割は果たしていませんでした。

こんなことを言うと異端と思われるかもしれませんが、それは本当のことです。伝統的に確立されたものを私たちがどれほど安易に疑いなく受け入れてしまうかを、今皆さんが感じている不安が明らかにしています。

病気や疾患を6ハウスが示すという見方を受け入れ、正当化することはおそらく可能なのですが、私にとってはそれさえも「慣例」に対する気の進まない敬礼です。

6ハウスの海王星が遺伝的な血液疾患を示している可能性のある例を、私が頻繁に見たのは確かです。しかし私はその理由を説明することができません。6ハウスはおそらく12ハウスの影響の波及領域なのではないかとも考えてみましたが、対向ハウス間(の相互の影響)の連続体は線ではなく円なので(始まりと終わりをどこで線引きするのでしょうか?)、他の配置の考慮なしには結論づけられないでしょう。

確かなことは私にも分かりません。

「6ハウスは病気を示す」が確かであるか否かはそう重要でないと私は考えますが、それを強調して伝えることに関する罪の意識を払拭することはできません。しかし何千というケースにおいて、私はクライアントに対し、6ハウスに関連する健康問題について言及した記憶はありません。

天王星・冥王星・月・金星のステリウムが乙女座6ハウスにある女性がいます。彼女は大学では「公衆衛生学」を専攻していました。現在は別の分野で活動していますが、公衆衛生学の分野に戻りたいと考えています。彼女は30年間にわたり絶え間なくペットを飼っていました。彼女のホロスコープの6ハウスには彼女の仕事におけるセンス、つまり複雑な詳細の取扱いやデータ管理に関する適性がよく示されています。MC支配星の土星は水瓶座にあり、彼女が大変興味を持っている公衆衛生を通して「(他者の)世話をする」という仕事の次元の表示が完成しています。

ノーマン・シュワルツコフ将軍は、チャールズ皇太子と同様土星が6ハウスを支配していますが、将軍の土星は太陽や水星とオポジション、アセンダントに対してクインデチレになっています。これは楽な配置ではないのですが、「協力の動的特性」は彼の視点と合っており、特に6ハウス山羊座の月の性質と適合しています。

将軍が1994年に膝の症状で軍の病院を訪ねた(これはやはり「健康」問題なのでしょうか?6ハウスは山羊座(骨・関節等)ですね)ことは興味深いです。その時の診察で前立腺癌が発見されました。これは、出生図の12ハウスの状態が強力に示しています。12ハウス(蟹座)を支配する月は、12ハウス在住の火星・冥王星とオポジションになっています。

つまるところ、この「健康」問題の考察の重要なポイントは、想定される困難の程度が「仕事を少し休むことにはなるかもしれないが、入院したり、棺桶に入るような事態に至らないもの」だということです。私は習慣でこれさえも見ない傾向にありますが、もちろん私の目と耳は私たちの問題を解決するヒントになり得る物事に対し常に敏感です。しかし私は「健康」が6ハウスの領域であるという見方を未だに受け入れられません。

私は栄養(栄養学)については、ハウスの問題でなくサインの強調の問題と考えています(乙女座が強調されていて月が強力な上記の女性の例を思い出してください)。

<結論>
「協力の動的特性」という観点から6ハウスを明確化する5つの次元があります。それは、占星家がクライアントの仕事の姿勢を支持したり、仕事に必要な条件を考えたり、いかに効率的(あるいは非効率的)に協力関係を維持していくべきかなどについて示してくれます。どんな人生体験においても、6ハウスは、協力関係の実りとしての報酬を期待する従順な感覚や社会的力関係、という意味を持っています。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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