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11ハウスの方向性

Tyl HP Analytical Techniques 2003 Sep 30


このエッセイの大部分は、シングルセッションセラピーに成功に導くために著したテキスト「The Creative Astrologer」からの転載です。「The Creative Astrologer」には、天体やアスペクトの象徴を通して人間の境遇を深く分析する指針となる700以上もの創造的な関連付けが記されています。[サイトの「BOOKS」セクションを参照してください]

11ハウスのシグニフィケーターに対する強い緊張は、自分が愛される存在であるか否かについての成長過程の不安を不変的に暗示します。この精神力学的特徴は、自己評価や与える愛、その愛に対する見返りの期待などの概念に関連します。ハウスのサクシーデントグランドクロスは、両親軸のシグニフィケーターや土星の逆行現象、土星と太陽の関係、ノード軸などの緊張のネットワークと深く関係します。

逆行土星の影響を把握する質問/応答を完遂するために、次のように尋ねてみると良いでしょう(慎重に行なってください)。「ジョージさん、あなたのお父さんは、「ジョージ、愛しているよ」といつも言ってくれましたか?」」この問いへのクライアントの答えは、カウンセリングに刺激をもたらします。私は通常、カウンセリングを開始して5〜6分以内にこの質問をします。占星家は、問題全体を話し合えるようにするために改善(治療)方法の研究をしておく必要がありますが、まずは次のように話しかけることが大切です。「あなたが感じていることはよく分かるつもりです。今の涙は必ずしも痛みの涙でなく、むしろ理解の涙と考えましょう。しばらくこのことについてお話ししませんか」このような言葉は、クライアントに冷静さを取り戻すきっかけを与えます。

11ハウスの月は、その人生において友人に対し驚くほど「供給」することと、友人を頼りにすることの確かな証と言っていいでしょう。「賭けてもいいです。あなたの友人リストは果てしないのではありませんか? クリスマスカードは1万通? あなたの友人達は、どんなふうにあなたを助けていますか?」

この友人という「資源」は、例えば仕事を探す時などにとても重要になります。もし友人との関係に距離があり、「資源」が眠ってしまっているならば、クライアントは興味深いニュースレターなどを作り関係を活発にしておくと良いかもしれません。クライアントにとっての友人は、個人的な(親密な)関係の代用になってはいないでしょうか。そうだとしたら、それはなぜでしょう。避けてしまっているものは何でしょうか。

連絡が途絶えてしまうのはどうしてでしょうか? 現在のメール社会においては、通信網は日常化した無関心や不安定感から抜け出し、明るくより活動的な摂生生活に入る扉を開く鍵になります。

配偶者の性的側面については、7ハウスから5番目の11ハウスで解釈することが可能です。この派生ハウスに示される事象は2、5、8、11ハウス間の複雑な相互関係を強調します。11ハウスの土星は愛情を求める膨大な欲求を示します。そこから来るコンプレックスは、自身の欲求に対する配偶者の反応をどのように受け取るでしょうか。クライアントはセックスを戦略的に用いる配偶者に利用されてはいないでしょうか。天王星が11ハウスにある場合、クライアントは配偶者に追従や注目を過剰に要求していないでしょうか。それは有意義な関係ですか。問題があればどのように解決したらよいでしょうか。問題がまた別の問題を誘発してはいませんか。それらは、長期間にわたる全体的かつ重要な成長の一過程としてふさわしいものでしょうか。

11ハウスの海王星は、パートナーとの性的関係において、パートナーの観点を越えた何か(「第2の議題」や「別次元の活動」など)が存在することを暗示します。不妊やインポテンツ、妊娠中絶の罪責感、不倫関係などはないでしょうか。11ハウスにある冥王星は、配偶者との性関係や「友人以上」の関わりの集団にまつわる権力争いを示しているかもしれません。

45歳以上のクライアントの場合、それまで一度も活性化・探究されなかった11ハウスの可能性は後退して眠ってしまっているかもしれません。人は年を重ねるほどに、助けを求めることをためらうものであることを創造的な占星家は認識する必要があります。しかしこれは道理ではありません。私たちは皆共に生きているのです。だからこそ私たちはよく握手をします。クライアントの内心を考えれば、助けを求めることで自尊心を失う怖れや、他人の重荷になりたくない気持ちが推測できますが、それは現実に即した考え方ではありません。個々の状況下で、もし道理にかなった援助ができるならば、多くの人々はそれを行いたいと思うものです。なぜならその行為によって充実感や評価されている実感を得ることができるからです。もし要求を断れば、断ったという事実に罪悪感を持ってしまうでしょう。

政治家はその心理をついて「あなたの助けが必要です」という言葉で基金を募ります。これは顧客サービスへ電話をかける際のコツにもなります。「時間を割いてくださってありがとう。本当に困っているんです..!(もしくは「助けていただけると助かるのですが..!」など)」 少し「間」があってのち、「もちろんお力になります。私にできることでしたら!」との返事が返ってくることでしょう。

自分のプランを前進させる自分なりの方法で友人と連絡を取るよう促すことで、占星家はクライアントの11ハウスの復活を援助することができます。

最近会った女性のクライアント(58)は北側と西側に偏ったホロスコープを持っていました。人生初期の成長過程に多くの「未解決の課題」が存在し、彼女には際立った自己犠牲の傾向がありました。海王星、木星、太陽、水星の4天体は6ハウスに集中し、半球の強調の特徴がより明確になっています。

地平線上にあるのは10ハウス山羊座の月だけです。これは物事を起こしたい強い欲求や采配的な姿勢を示しますが、この月はさらに4ハウスの火星-土星とオポジション、冥王星(7ハウスの支配星)とクインデチレになっており、アスペクトの状態から野蛮な家庭環境や、「過剰補償」のため強烈な利他主義を他者に投影する傾向があることが分かります。実際、この女性は危機的状況にある他者を援助する仕事をしています。

水星-木星のミッドポイントにあり3ハウスを支配する強力な月は、「著述や通信の拡張」によりその管理能力を発揮し、発達していくものであることを繰り返し強く推測させるものでした。私がこのことに言及した時、彼女は啓示を受けたかのようでした。彼女はそれまで、大規模なコミュニケーションの衝動を個人的な危機セラピーの仕事と関連付けて考えたことがありませんでした。自身の体験から述べたいことが彼女にはたくさんありましたが「木を見て森を見ず」の状態だったのです。

彼女の11ハウスの支配星は天王星で、天秤座の太陽とみごとなトラインを形成しています。私は彼女の職業意識と慧眼に「ネットワーク(情報網)」という言葉を付加したいと思います。彼女の現在のビジネスライフは、尽きることのない熱意と莫大な財産により清澄なものとなっています。活動を多くの人々の間に拡げていこうと、いま彼女は情熱的に働いています(ノードはMCにクインデチレになっています)。その姿勢は人格を変え、異種の人々を引き寄せ、辛い過去からの痛みの遺産を乗り越えることを可能にするでしょう。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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