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土星回帰の先行期(Anticipation Period for the Saturn Return)

Tyl HP Analytical Techniques 2003 Oct 31


占星家グラン・レウィによる土星の通過サイクルの重大な発見と定式化は、占星術を非常に豊かにしました[「Astrology for the Millions(百万人の占星術)」(レウィ著、レウェリン出版)が「Books」にリンクされています]。どんな格言も、周知されてこそその価値が確立し、世に馴染み、私たちはいつしかそれを当たり前に受け止めるものです。

−例えば、肉眼で見えない世界の状態を顕微鏡で見ることができるというのは、周知の事実です。私たちはその光学技術の恩恵を当たり前のように受け止めています。

顕微鏡のしくみを知れば知るほど、私たちの焦点を合わせる技術は洗練されます。同様に、この土星のサイクルという「心の発明品」についても、洞察が深まれば深まるほどそのパワーと有効性の恩恵を私たちは実感することができます。

トランジットの土星は、出生の土星に矩象[くしょう・90度毎](スクエア、オポジション、スクエア、「サタンリターン」、スクエア...と、約7年毎に連続的に形成)でアスペクトし、家族や社会、市場などにおける成長(発展)に見られるような進歩を構築する「時間的計画」を定義します。

28〜30歳の年齢に起こる土星回帰は、職業面の方向性もしくはレベルの変化に確実に関係すると明言できます。

しかし、土星回帰はある日突然起こり完成するようなものではありません。こう言うと滑稽に聞こえるかもしれませんが、実に多くの占星家が、時期表示の精密(正確)さにとりつかれ「人間」を忘れがちです。個々の生活環境、他者との相互協力、および発展(特に遠大な帰結を内包する発展)の自然な漸進性を忘れてしまうのです。

自然界は私たちに、土星・天王星・海王星・冥王星の逆行・順行期を通じて、時間の動的特性の「次元」や漸進性を示します。この順行・逆行の動きは、出生図の特に重要なポイントや天体に対し、1年半〜2年以上の期間内におおむね3回、集中的に重大な意味をもたらします。その全貌こそが発展と変化の軌跡です。

土星回帰では、(土星回帰関連の)懸案事項や出来事が、およそ6〜18ヶ月手前から蓄積する傾向にあることをあらかじめ知っておく必要があります。成長(発展)を理解するために、この構築期間の期間枠の中で形成される、付随の時期表示に私たちは注意を払わなければなりません。

1.30歳で出生の位置にオポジションになる木星(12年サイクル)に配慮する必要があります。これは、土星回帰中の(土星回帰にまつわる物語の一部分の)チャンス到来期を示します。24歳(トランジット木星回帰)からの流れとも関係し、土星回帰はその頃から事実上徐々に展開し始めているのかもしれません。また、出生図の天体配置によっては、24歳以降数年に起こる、太陽もしくは10ハウスの支配星に対するトランジット木星のコンジャンクション、スクエア、オポジションも展開に関係する可能性があります。

2.セカンダリー・プログレッションの月が、出生の土星のサイクルに対して反響(エコー)をもたらす様子は自然の不思議を感じさせます。月の軌道は28日、土星の軌道は28年です。各々の意味(重大性)を絡める、例えば息の合ったダンスを思い浮かべてください。SP月と出生の土星は、一方がもう片方に答えたり、刺激し合うといった形で、それぞれの期間の関係性を交互に育む傾向にあります。どちらも成長(発展)にとって重要なかたちで位相を合わせて進行していきます。

簡単な「目視計算」法:SP月は1ヶ月に1度(実用的な近似値)動きます。出生の土星とのコンジャンクション、スクエア、オポジションなどの強力なアスペクトが最初に形成されるまでの度数(出生の月から数える)を測定してください。そこまでの度数は出生後の月数と一致します。それはSP月と土星の間に6〜7年毎に起こる、生涯継続する矩関係の出発点となります。

例えば私のホロスコープでは、月は獅子座27度、出生の土星は魚座17度にあります。この月と土星が最初にオポジションになるまで20ヶ月(1年8ヶ月)かかります。アスペクト形成は「2歳直前」です。

上記に従い、生涯に渡るSP月=土星 のサイクルの時期を概算すると、9、16、23、30、37、44、51、58、65歳の直前にできます。私の例では、23、30、37、44歳の時期と、特にトランジット土星が矩象アスペクトを形成する21、28〜30、35、43〜45歳の時期が(SP月=土星に)呼応していることに注目してください。

言い換えれば、人生における主要な成長(発展)を示す土星回帰の期間中に、SP月=土星の重要なテーマも同時にクローズアップされる例が頻繁に見られる、ということです。

このように、欧米諸国の全ての人々にとって、土星回帰の期間は非常に重要です。土星回帰は通常、仕事や状態(地位)の改善のための努力、決定、変化、および再学習のチャンスの時期となります。 土星回帰目前の1年ほどの間に存在するトランジット木星やSP月の時機から、私たちは変化へ向かう戦略的な「句読点(punctuation)」を把握しなくてはなりません。それらは運気の流れを描き出し、土星回帰の変化の領域やスケジュールを意識化するイベントやタイミングの目印となるものです。

あなたの「視野」は拡がりましたか?

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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