「なぜ？」 ＆ 「どの程度？」
Tyl HP Analytical Techniques”: April 28,2004
「教科書依存症（学習中の多くの占星家を苦しめる病気）」から逃がれるため、そしてホロスコープに説明書的意味付けをする「ウィルス」に侵され思考を放棄することを避けるため、私は脳に作用する薬を２錠処方します。この薬は停滞状態を脱して分析を引き出し、晴れやかで健全なカウンセリングを促進するでしょう。
私たちはホロスコープを見て、「これは〜である」「これはいわゆる〜というものだ」と決めつけてはなりません。そのような見方で、個々人の発展にとって必要な「成長の力学」の理解にたどりつくことはできません。 私たちは動きのない（成長し続ける生命の現実に則していない）解釈の記述に縛られています。
次のホロスコープを作ってみてください。
ある女性 - 1922年6月10日 午前6時 CSTミネソタ州グランドラピッズ生まれ
ある女性
このチャートが土星と水星の正確なスクエアに支配されていることに気がつくことと思います。この配置を見るや否や、説明書的訓練からおそらくあなたは「うつ病」を考えるでしょう。良い見方です。 しかしそこで「なぜそうなのだろう。それはどの程度のものだろう。」と自問してみませんか。−「脳のための薬」とは、この質問のことなのです。
土星は４ハウス天秤座０度、逆行の水星は12ハウス蟹座０度にあります。この土星−水星スクエアのコンプレックスは、この女性の少女時代からの発達過程でどの程度統合されていくでしょうか。このホロスコープのカーディナルサインは、潜在的な「憂うつ」がおそらくそのまま強く前面に出ているであろうことを物語っています。この２天体は牡羊座ポイントでコンジャンクションしており、その傾向はなおさら強いでしょう。水星は４ハウスの支配星で、初期の家庭生活から潜在的憂うつが生じることが分かります。またこの水星は12ハウスを支配し12ハウスに在住しており、自己破滅的傾向を持つでしょう。土星は７ハウスを支配し、重々しい憂うつ感が親密な関係に深く浸透することが推測できます。
ここまでですでに、私たちはうつ病の記述的見解をつくり、彼女の人生展開にそれを位置付けました。うつ傾向は初期の家庭生活に端を発し強く表れており、個性的な自己イメージの形成や気楽で生産的な人間関係の発達を妨げています。
ここで「なぜそうなのか。もしこのとおりだとすれば、どのようにそれ（うつ傾向）はもたらされるのか」と自問してみましょう。４ハウスの土星に焦点を当てると、「憂うつ」は高い確率で厳しい親の問題と結びついているように思えます。私たちは関連する表示の詳細を直ちに確認し（「両親を見る４つの方法（2003.5.1）」を参照してください）、冥王星と月のオポジションに注目します。父親問題（土星）と共に母親問題を背景に持っていることは確かでしょう。蟹座のアセンダントにある冥王星は、家庭の安全を切望する感情を反転させ、この女性（少女）の核心の部分に大変強い影響を与えているでしょう。
あっという間にもう私たちは無味乾燥な記述からはるか遠くにいます。この分析過程で私たちは多彩な困難の描写を見ていますが、加えて５ハウス支配の月と冥王星とのオポジションのコンプレックスにより、絡み合う困難が「愛を与える」場面で反響すると推測できます。 [ これは、落ち込んだ感情的な状態での振舞いのパターンを通して、子供（達）に自分のコンプレックスを引き継ぐことにも関係します ]
次に、この「反響」についてチェックするため「それがどの程度であるか」を考えますが、答えははっきりしています。５ハウスと11ハウスの支配星である金星（愛したい欲求、愛されたい感情）はペレグリンです（「ペレグリンについて（1999.11.30）」を参照してください）。５ハウスと11ハウスの問題がこの人の個性の開発を支配することでしょう。
「なぜなのか？」 それは親の状況、特に母親から受け取った憂うつ感情の中で、巨大な「愛の欲求」が蓄積されていったからです。しかし、「憂うつ」と「親密な関係における問題」のため本人は対人関係を避ける傾向にあります。「信頼」と「親密さ」が「不信」と「競争」に置き換えられてしまいます。
逆行の火星があります。エネルギー活用のテーマ（射手座にあるので「自説にこだわる傾向」）は、表現の前に内側に保留される傾向にあります。なぜでしょうか。それは検閲、編集、変更のためです。彼女の意見や感情は検閲され、退けられるか抑圧され、「憂うつ」に飲み込まれるのが常でした。「なぜ？」 この火星が11ハウスを支配していることに注目しましょう。ここでも「受け取る愛」の問題につながっています。
「どの程度のものか？」 火星−太陽のオポジション軸が天王星とスクエアになっていることに注目します。これは、ここまで考慮してきた内向する心配や怒りが強力であることを示しています（天王星とスクエアで憤激状態の逆行火星）。このコンプレックスは状況の影響を受けやすいミュータブルサインで起こっており、心配や怒りは憂うつ方向に内破します。過剰活動、扇動、および神経症の苦しみを伴い、それはこの女性（少女）の考え方に重大な影響を及ぼすでしょう。太陽が考え方の３ハウスを支配していることに注意してください。
海王星もペレグリンなので、やりたい放題にやるところがあるでしょう。「それはどの程度か？」 組み立てられた分析の見地から、この海王星は現実逃避を如実に表しているかもしれません。多くの場合、海王星は自己の抑圧を、オポジションの天王星は自己の激化を示します。海王星の現実逃避の手段には、アルコール、ドラッグなどが含まれます。
*** あなたの分析はもうこんなに豊かになっています。私の生徒たちは、30秒程度でこのような分析に到達する自信と心の姿勢を学んでいます。発達につながる自問 「どの程度か？」＆「なぜか？」を取り入れてみてください。あなたは「教科書依存症」からすぐに自由になることでしょう。
このホロスコープは伝説的芸能人ジュディ・ガーランドのものです。 彼女を崇拝した一般大衆は、薬やアルコール中毒、混沌とした親密な関係、自殺未遂、および成功といった彼女の一連の巨大な「憂うつ」の影響を共有しました。最近の伝記では、子供を売り込むことに熱心だった彼女の母親は、ジュディの職業経歴の早い段階から彼女にドラッグをしつこく勧めていたことが明らかになりました。
分析にこのように取り組むことで、あまりに「一般的」なウイルスのすべてから逃がれることができるでしょう。こういった分析の仕方を数回練習してください。きっととても楽しくなってくるはずです(^_^)。
高度な研究のために：AP=水星、土星、月、月/水星、太陽/アセンダント、火星/アセンダントに注意してください。上記で注目した「統合」はあらゆるところへ徹底的に影響しています。さらに：海王星＝太陽/木星、そして海王星＝天王星/アセンダントにも注目しましょう。前者は、増加する感受性や方向を定める集中力の損失を示します (職業上の感化力も読み取れます)。そして後者は、共感性や他者に利用される可能性のある殉教者的な側面を示しています。
（訳：石塚隆一 校正：石塚三幸）