仕事に関する困惑を見る ノエル・ティル
Tyl HP Analytical Techniques 2004 Sep 30
次のチャートを作成してください。：1803年12月11日 午後５時00分 LMT フランス・ラ・コート・サンタンドレ生まれ［これはとても信頼性の高いデータです。アセンダントは蟹座０度29分です］
ベルリオーズ
ベルリオーズはオペラや交響楽の作曲家で、19世紀以降の音楽に大きな影響を与えました。彼は天才と称され、フランツ・リストやパガニーニなどの有名な音楽家に支持され、ベートーベンの影響を強く受けました（ベートーベンはベルリオーズが20歳まで存命でした）。
しかし、この音楽での成功の前に、医師であったベルリオーズの父親は彼を医学校へと入学させました。職業上の混乱と解決の過程をホロスコープでたどってみましょう。
二重性のテーマを持った魚座（あるいは双子座）がＭＣのサインであれば、複数の職を持つことや職業に関する混乱を予測することができます。ＭＣは海王星が支配しており、海王星は月と重要なコンジャンクションを形成しています。このコンジャンクションが月と海王星にとって唯一のメジャーアスペクト（トレミーによる）であることに注目してください。「ペレグリンアイランド（ノーアスペクトで孤島状態）」の特徴は強力に発揮されます。
ＭＣは冥王星とコンジャンクションであり、海王星の支配を受けています。海王星と冥王星はミューチュアルレセプションになっています。これは海王星-月、冥王星-ＭＣそれぞれのアスペクト同士のとても強力な結び付きを示します。
職業の視点で、冥王星はいくつかの表現の可能性を示します。政治や研究、人々の記憶に残るような表現。ＭＣは父親を表すポイントでもあるので、時代と彼の年齢を考慮すれば、父親の後を継ぐ可能性も考えられます。
しかし、海王星の表現領域はそれらとうまく合いません。ここに混乱が予測されます。海王星と冥王星の組み合わせから強く推測されるものは、超然たる霊妙な、そして芸術的な何かです。
初期には父親が主導権を握っており、ベルリオーズはパリの医学校へ通うことになりました。私たちは彼の職業の表示を「医学研究」や「薬理学（海王星）」などと読むこともできますが、それは納得のいく読み方ではありません。特にＭＣ、ＭＣの混乱の可能性、ＭＣを拡張する別の道（ＭＣは、アンギュラー（７Ｈ）で強化され土星とスクエアである金星とセクスタイルを形成しています）などについての認識を深めていくとさらに納得がいかなくなります。興味深いのは、この金星-土星のスクエアもそれぞれにとって唯一のメジャーアスペクトになっていることです。このスクエアもまたミューチュアルレセプションであり、先の「ペレグリンアイランド」と同じような働き方をするのです ！
こうして「冥王星-ＭＣ-月-海王星」と「ＭＣ-金星-土星」というテーマが浮き彫りになってきました。これらが示すのは、ＭＣが拡げる２つの職業の可能性です。鍵となるのは金星とＭＣ-冥王星とのセクスタイルです。
［注意：ペレグリン（ノーアスペクト）の木星もＭＣにトラインなので通常は強い影響を及ぼしますが、この木星は金星の星座（天秤座）に在住しているため、影響の重要度としては金星に軍配が上がります。］
＜分析の背景情報＞
ベルリオーズは「感受性豊かな性格で、子供の頃から完全に感情のままに行動していました」と描写されています。このことは蟹座０度の牡羊ポイント（活動サインの０度を指します）にあるアセンダントがはっきりと物語っています。彼の伝記の著者は「ベルリオーズが12歳の時、６歳も上の少女に恋をした」ことを驚くべき出来事として重視しています。これはベルリオーズの強い感受性を示す重要な出来事であり、彼の中でかなり長い間意識され続けました。［重要なアークを目測する練習をしてください。この早熟で超自然的な恋愛の表示を探すために12度を加えてみてください。SA金星とn天王星、SA冥王星とn太陽、SAＭＣとn水星、SA海王星とn冥王星、SA火星-SA太陽とアセンダント。これらすべての特徴が12歳で発現します！ そして彼は音楽を独学で身につけ、同時期にはすでに作曲を始めています。］
アセンダントを支配する月が職業の展望に関連の深い海王星とコンジャンクションになっていることから、この牡羊ポイントの蟹座アセンダントは、２部から成る職業の特徴に対し、深く強烈な影響を与えていることに注意する必要があります。
夢見がちな彼は父親に強制されてパリへ医学の勉強に行き、「最初の解剖の授業でパニックになり、窓から逃げ出し、絶対に医者にはならないと固く決心した」ということです。その夜彼はオペラの演奏に参加し、もう一方の領域へと完全に移行してしまいました。彼の中で考えは固まったのです。
そのすぐ後、彼の作品のいくつかが公演され、音楽学校の権威の教師ルシューは「君は医師でも薬剤師（海王星）でもなく、作曲家だ。なぜなら君は天才だからだ。本当に天才なんだよ！」と彼に言ったのです。
冥王星を23度進行させると（ベルリオーズ23歳）魚座29度になり、ソーラーアークの冥王星がアセンダントに影響を与えていることが分かります。これは彼の人生の展望やアイデンティティを変化させる時期でした。同時に活性化していた別のアークがあり、これが彼の音楽家としての正式な第一歩となったパリ音楽院への入学を示していました。
さらに冥王星を４度先へ進行させたアーク（27歳）では、ソーラーアーク冥王星と金星の接触が鮮明に彼の人生に影響してきます。その年1830年には、ベルリオーズはローマグランプリを獲得し、超然たる発想力で管弦楽のひとつの歴史を作り上げた作品「幻想交響曲」を作曲しました。［「幻想交響曲」を書く際ベルリオーズは薬の刺激を利用したという説がありますが、それはこの素晴らしい「新たなサウンド」の完成後に作られたゴシップかもしれません。しかし、この説にも海王星のイメージは適合しています。］
彼の職業上の発展についてさらに言及すれば、偉業や広い視野や壮大な表現などに関連する冥王星がＭＣと共にあるため、これは支配的な強さを発揮します。ベルリオーズは壮大なスケールの新しいサウンドを創造した革新的な天才作曲家でした。彼は時には500声にも及ぶ合唱や140ものパートから成るオーケストラを要求し、上演に６時間半かかるオペラ「トロイアの人々」も書き上げました。しかしそれは、彼の存命中に完全な形で演奏されることはありませんでした。
ベルリオーズは19世紀の音楽界で記念碑的な存在となり、彼のたぐいまれなオーケストレーションの概念は今日までその影響力を保持しています。表現力豊かで偉大なこの作曲家は、ソーラーアークのアセンダントがn冥王星とオポジションを形成した1869年にこの世を去りました。
（訳：石塚隆一 校正：石塚三幸）