救済のため手を組む天体配置
Tyl HP Analytical Techniques 2005 Feb 28
ホロスコープの構造の分析を組み立てる際、クライアントの個性や現実に、複数の要素（天体配置の特徴）が「集約している」と感じることがしばしばあります。個性の異なる天体配置が共に機能しているのです。例えば、７ハウス獅子座の太陽・木星のコンジャンクョンは、逆行の土星と関わって「一生懸命働く」傾向を表すかもしれません。火星のオリエンタルやペレグリン（ノーアスペクト）は、射手座の月の特徴である概念化の過程をアスペクトなしでも活性化するでしょう。また木星・金星の９ハウスでのコンジャンクションは、９ハウス支配星にかなりのストレスがかかっている場合でも、その影響を相殺するか緩和することが可能になるでしょう。グランドトラインの配置が暗示する心理的な自給自足の閉回路が、その個人の慣習に不快や脅威をもたらす他者に対し防衛的に機能する例を上げればきりがありません。
このような「自然な」集約（組み合わせ）の原理が念頭にあると、分析の準備の助けになるでしょう。上記のような「手を組む天体配置」を見つける過程には繊細さが必要かもしれませんが、クライアントの現実においては、その特徴は顕著に表出していることが多いです。
次のような支配的な天体配置を持つある男性について考えてみましょう：月が土星とオポジション、冥王星とスクエアです。４ハウスを支配する水星は天王星とスクエア、海王星とコンジャンクションになっています。−−シンプルで非常に強力なこの配置から「過干渉の母親（女性）」の存在の可能性を推測することは容易です。ここで私たちは、その過干渉とはどんなものであり、父親からの影響力との不均衡はいかにもたらされたか、また大人になってからの対人関係にそれがどのように影響しているか、などについて調べなければなりません。
母親はずっと依存的であり、窒息しそうなほどに自分を可愛がったとその男性は話しました。母親は明らかに夫との間に大きな問題を抱えており、全身全霊で焦点を息子に合わせていました。そしてそれは現在も続いています。
母親の過干渉は少年の発達を妨げます。相互に影響を与え合う土星の問題（土星は11ハウスの支配星）は、愛されていないという深刻な感情や、まるで毛布をかぶせるような愛し方をする母親の支配下での孤独感として表れました。
またこの男性のホロスコープでは、７ハウス天秤座にペレグリンの太陽があります。これは人気者になりたい、良い印象を与えたい、他人にとって重要でありたい等の天秤座のテーマを焦点とする欲求や行動の周辺を漂う遊離コンプレックス（ペレグリン）です。また孤独な側面（機能しにくい天秤座）を持つ分離主義者でもあり、世間一般と異なるリズムで生きる傾向があります。
私たちはカウンセリングの中で、彼の孤立傾向（他者と距離を置くこと）が、母親の過干渉から逃れるための避難所として非常に重要な役割を果たしていたことを認識できました。彼は独自のやり方を見つけ出し、アイデンティティを救済したのです。救済の過程はゆっくりとしたものでしたが、積み重ねにより大人としての対処ができるようになったことは、異なる天体配置の特徴が手を組んだ結果と言えるでしょう。
ロバート・デニーロ［1943年08月17日 午前3:00 EWTニューヨーク州ブルックリン生］
俳優ロバート・デニーロのホロスコープでは、アセンダントを支配する月が海王星とクインデチレになっています。これは過敏や寡黙、引きこもりがちな傾向を確かに示しますが、それは芸術家の個性の一側面でもあります。
そして、２ハウスを支配する太陽に対し火星がスクエアになっています。これは、感受性が劇的な自己発達をもたらす（月−海王星クインデチレ）という自己価値感（太陽）に対する「アドレナリン注射」（火星）と読めるかもしれません。この２つの観察ポイントは、組み合った時非常に良く機能します。どちらか一方が欠けていれば、分析の結果はこれとは違ったものになるでしょう。
トム・クルーズ［1962年07月03日 午後3:06 EDTニューヨーク州シラキュース生］
トム・クルーズのホロスコープでは、月がペレグリンであり、やや異質で分離的な自己が示されています。そしてこの月はＭＣにコンジャンクションです。彼が仕事をするにあたり、自己の遊離コンプレックスから来る必要性に基づき独自の手段を取ることが重要になると予想できます。
そして彼のチャートではＭＣに海王星がスクエアです。これら２つの天体配置の特徴は、空想やファンタジーの世界である映画業界において働きます。しかしそれだけでなく彼の私生活においても、かなり遊離した繊細な言動を際立たせるように働くでしょう。この特徴により対人関係はどのように複雑化するでしょうか。
クリント・イーストウッド
俳優、監督、そして作曲家でもあるクリント・イーストウッドの太陽はペレグリンで、やはり遊離コンプレックスが示されています。そして海王星はＭＣとコンジャンクションになっており、彼の個性の輪郭を顕わにする分離感覚や特殊な感受性を増強しています。シャープで適切ないくつかの焦点が必要ですが、彼のホロスコープには月と火星のスクエア（物事を成し遂げ、望みを叶える衝動）があります。
ジョージ・Ｗ・ブッシュ［1946年07月06日 午前7:26 EDTコネチカット州ニューヘイブン生］
ジョージ・Ｗ・ブッシュ大統領のホロスコープはどうでしょう。東半球への天体の完全な偏りや12ハウス在住の太陽から、自己防衛的な指導者ではないかとまず心配になりませんか？しかし、アセンダントと２ハウスを支配する太陽（アセンダント支配の太陽は「王様コンプレックス」を表します）と木星がスクエアを形成していることから、彼の太陽のその側面が強力に膨張／高揚していることに気がつきます。さらにこの木星は７ハウスを支配する天王星とトラインです。１つの天体配置グループが「救済」を行い、それがもう片方の天体配置グループの特徴を修正しています。
ジョディー・フォスター［1962年11月19日 午前8:14 PSTカリフォルニア州ロサンゼルス生］
女優のジョディー・フォスターのホロスコープでは、蠍座で逆行する金星が海王星とコンジャンクションし、成長に関してかなりの困難が予想される配置になっています。金星は彼女のＭＣの支配星です。しかしその一方、３−９ハウスという反応軸に月−天王星（乙女座）と木星（魚座）のオポジションがあります。これらの配置から、あなたは内向・外向の二極性を感じることができますか？２つの生き方の方針はどれくらい異なっているでしょうか。そしてその二極間に何があるでしょうか。
ティモシー・リアリー
ティモシー・リアリーのチャートでは、水瓶座の月と魚座の天王星のコンジャンクションが海王星とクインデチレになっています。これは前衛的科学の人道主義的な合理化を示すでしょうか？それとも幻覚剤のフィルターでしょうか？
あなたの分析の組み立てを振り返り、天体配置グループが相互に救済、補完、また対立し合う様子を「探って」ください。そして、感じたことを言葉で表現してみてください。−−相互に執着し合う天体配置について創造的な関連づけをし、全体を「同時に」概念化できるようになるほど、あなたの解釈はクライアントの現実に近づくということを覚えておいてください。
（訳：石塚隆一 校正：石塚三幸）