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推論を飛躍させ、インスピレーションを開発しましょう(Making the Deduction Leap; Opening up to Inspiration)

Tyl HP Analytical Techniques 2005 Mar 31


私たち占星家はある意味で、創造性や直観力の媒体であると言えるでしょう。インスピレーションは私たちの内面での調整や修正の過程を通過し、どこからともなく提示されます。

未来を示す天体配置に目星をつけ、占星学的な背景とクライアントの現状から枠組みを作っていく過程で、「それ」はりんごが木から落ちる(ニュートンの法則)ようにインパクトを伴って提示されます。占星家は皆これができるようになりたいと思うものです。こういった才能の働き方、発揮の仕方は、インスピレーションを自分がどれほど信頼しているかに左右されると言えます。私たちは皆、創造的な推論を表明することに多かれ少なかれ不安を持っています。

私はそれは当然だと思います。演繹的推理の瞬間、私たちは奇跡的な何かに接しています。−ささいなことを見抜いたりもします− 私たちの理解を超えた何かが存在し、それを私たちはクライアントに提示しています。この「何か」は、自然で実用的・標準的とされるものの枠を超えていると感じられるかもしれません。これを否定されるのを私たちは怖れており、クライアントのあらゆる拒絶反応を、占星術と占星家に対する拒絶と受けとめ落ち込みやすいのです。

しかし私たちが自信に満ちている時、あるいは「何か」が内面に深く混入した状態にある時、私たちは自分が最善の仕事をしていると感じることができます。「占星術天国」ですべてがうまくいっている状態です。

今朝連続して行ったカウンセリングから、2つの例を紹介します(特別なファイル棚から選んだ例ではありません。これらはいつでも、どんなホロスコープにおいても起こり得ます)。

女性弁護士は翌年に、これまでの状況を一掃するような広がりを持つ成功の表示があります。それは彼女のアセンダントに来ているトランジットの天王星と、それを支持する強力な好機を示す多くの天体配置により強調されています。鍵となる天体配置はソーラーアークの太陽=金星(セミスクエア)です。(注:=は8thハーモニックアスペクトの表示です)

天体配置を見るとすぐ、私たちはロマンスに関する焦点を考えますが、彼女の結婚は素晴らしく、幸福で安泰なものです。するとこの天体配置からどんなことを推論できるでしょうか?

彼女のホロスコープでは、金星は3ハウスの支配星です。

カウンセリングでの会話はすべて、法律事務所の中での彼女の発展と、個人的な承認を得ることに対する強い期待を焦点としたものでした(トランジットの天王星のアセンダント通過その他の天体配置より)太陽−金星のアークは確かにこの点をしっかりと支持していました。

しかし私は次のように尋ねました(唐突だったと思います)。「あなたはごく最近、相当な注目を浴びると思われる、とても重要な記事を書かれたかまたは発表されませんでしたか?」

ええ、読者の皆さんの言いたいことは分かります。「金星はコミュニケーションの3ハウスを支配しているから、それは当然だ」と言うのでしょう。確かにその意味では当然なのですが、このカウンセリングにおいては演繹的推理のインスピレーションが生まれたのです。..それより、このカウンセリングを行なう占星家になったつもりでよく考えてみてください。あなたなら何と言うでしょうか?クライアントが職業作家であるならそういう質問も有り得ますが、彼女は弁護士です。そして「記事を書く」ことは全く話題に上っていませんでした。

彼女は驚いたようでした。彼女は公表予定の重要性の高い記事をまさに書き終えたところだったのです。そこで私たちは、来月に計画されているコンベンションの出展内容にこの記事を組み込むことができました。−コンベンションでは記事で扱った問題に関わる人々に会います−これらすべては、会社が顕著に認識される時期についての彼女の計画に導かれたものでした。

突然、すべての辻褄が合いました。将来の現実は明確になりました。

占星学的なシンボリズムに関する洞察が掻き立てたインスピレーションは、それを私が期待していたからこそ湧いたのです。−私は占星学的なシンボリズムに関する知識を持っています。私はクライアントの体験を活かす道筋を探していました。そして、私の言うことが適切であると信じました。

もちろん、経験や平静さや専門技術などに伴い「それ」はやって来ます。私は長年にわたりこの過程について考えており、「それ」が起こることを願い、また起こると信じています。「それ」が発現するように私は心の窓を開けます。

次のクライアントは、非常にうまくいっている不動産・土地開発業者です。現在彼はずば抜けて良い木星の影響下にあり、その表れのように金融黒字の恩恵を享受しています。

しかし、彼は家庭内の問題でかなりの苦境に陥っています(それは彼とその妻を示す他の天体配置により暗示されています)。彼の妻も不動産分野で独自に活動しており、その活動があまりうまくいっていないことも看過できません。夫の人生の一部を共有しているという認識が妻には全くないのです。2人の間には競争とかなりの緊張があります。

その家庭内の緊張は、曖昧でなくはっきりしたもののように見受けられます。クライアントを助けるため、占星家は占星術をどう駆使したらよいでしょうか。

私は、紳士のホロスコープに5つのクインタイルアスペクトがあることに注目しました。

現状において彼に何ができるかや、愛する妻を不安から救うすべなどに議論が発展したところで、私は唐突に「あなたの創造的な表現手段は何ですか」とはっきり尋ねました。

あなたはきっと、この脈絡のない質問は適切でないと思うことでしょう。

その紳士は、第2の職業と言えるほどに発展している彼の「創造的な表現手段」に関して即答しました。実際、来月には全国的に認知される機会があり、その「創造的な表現手段」はまさに彼のキャリアになりつつありました。[トランジットの木星の恩恵はもちろんここにも表れるでしょう]

この質問は、困難な家庭情況にどう関連していたのでしょう。何を意味していたのでしょうか。

妻も参加することのできるこの新たなキャリアは、成功している不動産業に加え、彼の人生の意味深い1ページとなるでしょう。新たなキャリアは夫婦の一体感を作り、競争を終息させるだけでなく、さらに良い物事をもたらすことと思います。[彼のホロスコープの2つのクインタイルアスペクトは、7ハウスの支配星、MC、金星を結び付けていました]

彼の太陽はペレグリンであり、妻が彼から分離されている感じを受けるのはある意味当然とも言えます。彼はただ風変わりなドラム奏者に合わせて行進している感じを周囲に与えるだけなのです。彼の魚座の月は、強く指摘されなければ自分の振舞いの発する雰囲気に気づくことはできなかったでしょう。妻の人生早期に発現した土星-太陽問題による「脆弱性」に、これらすべては当然の如く負担をかけていました。

繰り返します。占星学的なシンボリズムに関する洞察が掻き立てたインスピレーションは、それを私が期待していたからこそ湧いたのです。−私は占星学的なシンボリズムに関する知識を持っています。私はクライアントの体験を活かす道筋を探していました。そして、私の言うことが適切であると信じました。

*** 私たち占星家は、予測するために勇気を出さなくてはなりません。演繹的推理の過程は、研究中に自分の中で開発されます。強い焦点を感じて鋭く何かを推論する時、それには理由があります。

数々の経験と検証により、その演繹的推理の才能は目覚ましく発達します。 そして自信もついていくのです。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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