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サビアンシンボルを分析に組み込む

Tyl HP Analytical Techniques 2005 Jun 10


2004年11月30日の分析テクニックのコラムはゲスト占星家/著者のブレイン・ボビー氏に書いていただきました(彼の素晴らしい著作「The Sabian Symbols & Astrological Analysis」がちょうど出版された頃でした)。それから6ヶ月経過した今、サビアンシンボルについての洞察を実際のカウンセリングの事例で使うことに焦点を置いて、彼のシンボル解釈のコラムの反響を述べようと思います。

私にとってサビアンシンボルは、表面的な分析における単なる追加情報ではありません。むしろ、個人的な意識の発達領域を示唆する指針としてそれらを捉えています。例えば、MCのシンボルからは個人の人生の探求テーマや困難の焦点、おそらく自由への道程なども学ぶことができるでしょう。

シンボルを利用する際占星家は、該当シンボルの意味をただ伝え、クライアントの反応(微笑など)が背中を押してくれるのを待つようではいけません。

例えば、ある若い女性のMCが山羊座23度43分、つまり山羊座の24番目の度数にあったとしましょう。ボビーの本のシンボル解釈(反対側の蟹座24度ももちろん考慮されています)には、「陽(光)の当たる人生を目指すが、いさかいからは身を引く傾向がある」とあります。そして「個人的自由を犠牲にして道を選択せざるを得ない重圧」と続けています。ここでは「日の当たるベランダにいる2人の男性と1人の女性(蟹24)」のような三角関係が概念化されています。皆さんはここまでですでに、この女性の成長の範囲と深さを特定するイメージが形成されつつあると感じるのではないでしょうか。

一語一語を考えながら、シンボル解釈をもう一度読んでみてください。積み上げられていくそれぞれのイメージに注目してください。

「光」は解決や自由な表現のための標識であり、選択肢からそれを選び取ることで現実のものとなります。しかしその過程にいつも第3の要素があり(三角関係)、それが本人を当惑させ防衛的にさせてしまうのです。私のクライアントにとって、その第3の要素とは何でしょうか?

この女性の出生ホロスコープには、10ハウスや4ハウス、2ハウス、11ハウスの支配星を焦点とした緊張の表示が多くありました。これは両親にまつわる困難が太陽と月の活発な性質を埋もれさせ、自己価値感の不安を増長させ、自分は愛されていないと感じてしまう典型的なパターンです。

彼女は上記を少々大げさなくらいに強く認めた上で、これらのことは数年間受けているセラピーの焦点になっていると告白しました。

−−私はこの構図に加え、あなたは自由を望む強迫的観念を持つ(彼女は瞬時にこの言葉に強く同意しました)が、いつもあなたの決断をひっくり返してくる第三者的要素によって、変わりやすくムラのある三角関係の緊張のジレンマに遭遇するのではないかと言いました。彼女はこれに深く同意しました。次いで私は、この第三者的要素は両親の抑圧の遺産であり、(彼らの)自信不足からあなたの意志決定の過程を破壊し、自由を否定したのではないかと推測しました。−−穏やかな「衝撃」の中、私たちは彼女のMCに君臨するサビアンシンボルの示唆するわずか数単語の中に問題を収めることができました。

それは明快で実りある分析であったと思います。彼女の応答から、私はそう感じることができました。彼女は現在両親とは別の国に住み、新しい人生を歩み始めています。徐々に彼女を衰弱させていく三角関係から離れることができたのです。彼女の自由は開花するでしょう。

さらに、占星術的には彼女のMCは土星と冥王星のミッドポイントにアスペクトしていました(タンスの中の骸骨のイメージ)。サビアンの織り成す物語を裏付ける配置になっています。

これらすべてを検討する中で、たとえ話は現実味を帯び、それは明瞭な理解に結びつき、自信喪失習慣打破のチャレンジははるかに容易になりました。

次の例は、双子8度42分、つまり双子座の9番目の度数がMCにある女性です。対向度数のシンボルを考慮に入れたボビーの本で、このシンボルは「矢のはいった矢筒と子供に階段を上らせている母親」と呈示されています。彼は「多くの可能性の認識と最初のステップを踏み出す不安、あるいは複雑なステップを踏まなければならない傾向」のイメージへとこれを発展させました。

この女性の職業寸描は、占星術的には確かに、異なるいくつかの職種(医学から不動産業まで)を通して自分を表現し、自身の欲求を満たしていく可能性を示すものでした。ここであなたは、すべての矢を同時に放つ(複数の仕事を同時に持つ)負担やつらさに動揺しますか? 複数の職業的目標を持つ中で、どうしたら確かな戦略を立てられるでしょう。彼女が階段を上るためにどんな援助ができるでしょうか。「永遠の学生」として彼女を漂流させないために、私たちはどうすればよいのでしょう。

カウンセリングの中で私たちはこれらの考慮点を話し合い、目標に的確に「矢」を射ることができるよう、個々の仕事に対する彼女の関心の度合いと計画遂行の効率とを考え合わせた(行動の)優先順位を明確にしました。

このケースでもサビアンシンボルは確実にカウンセリングを豊かなものにしてくれました。キーワードや概念の提示を行う中で、占星術的見方についての確証も得られ、語りあった時間の印象はより深遠なものとなりました。

3番目の例は、MCが山羊座12度58分にある男性で、サビアンシンボルは山羊座の13番目の度数です。反対の度数を考慮に入れたボビーのシンボル解釈には「人生観や人生への献身に関する個人的痕跡」とあります。ボビーはこれをさらに発展させ「信じる何かに献身し情熱を燃やすため、肯定や否定の確固たる標を理解すること」と表しました。

この男性のホロスコープには、強烈な影響力を持つ母親との関係や特権的な家族の在り方に窒息しそうな暗示がありました。30代の彼は、数年間の業績不振や若干の謀反、そしてごく最近までの長期的な失業経験の後、彼独自の「個人的痕跡」と言える何かを成すことを熱望していました。

サビアンシンボルはカウンセリング全体に風味を添えました。すべては生き生きとしていました。この30代の男性にとって、自分らしい職業探求とはどのようなものでしょうか。それは彼と家族の未来の重要な鍵となります。何年もの正当化や言い訳、業績不振、失敗などを、彼にとって不可欠な「木の実」に関連づけることにより、正直さと現実性を前面に出したという意味においては、カウンセリングはひとつの驚異だったとも言えるでしょう。−不可欠な「木の実」とは、彼がこれまで実現できず、しかも何としても獲得したかった「個人的痕跡」です。

−−魔法のようなサビアンシンボルの恩恵を受け取る道は容易ではありませんが、サビアンがどれほど本質的に直観を刺激するかを私は繰り返し述べたいと思います。ボビーの「The Sabian Symbols & Astrological Analysis」は、すべての占星家必携の素晴らしい研究書です。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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