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SP月と年齢との関係を素早く計算する

Tyl HP Analytical Techniques 2006 Jan 31


技術が上がり自信がついてくると、ホロスコープを一瞥しただけで素早く重要な普遍性に焦点を合わせることができるようになります。私の修士認定コースの生徒は、最終的にはホロスコープの概要解釈の道筋や重要時期を45秒以内に要約し、整理できるようになります。私たちが学ぶ技術がもたらす力は自信により拡大し定着していきます。

「推論の木の実」はセカンダリープログレス(以下SP)の月という木に生っています。この一目瞭然な、しかも信頼できる「物差し」によって、私たちはホロスコープ解釈をより明確にすることができます。

素早い分析に役立つ情報です:大まかにですが、月は1日に約12度進むので、SPでは1年に12度進む計算になります。

ホロスコープが描き出す個人の人生とSP月との深い関わりは、SP月のアングル通過時や土星とのコンジャンクション、スクエア、オポジション形成時[つまり1/4円の関係です]に最も著しく表れます。

進行方向(反時計周り)で出生の月と最も近いアングルとの度数を測れば、「イベント」が出生後何ヶ月で起こるかが分かります。ビンゴです!

出生の土星に対して出生の月が最初にハードアスペクトを形成するまでの度数を測れば、月と土星の関係から生じる「イベント」が出生後何ヶ月で起こるかが分かります。再度ビンゴです!1/4円のサイクルはその年齢を起点として7年毎に設定されます。

そして最後に、SP月は28年に一度出生の位置(起点の位置)に戻ります。[360度を12で割ると30年になりますが、一般に私たちは便宜的に月の「1日」の動き=12ヶ月(1年)としています。月はそれより早く動くこともあり、年間を通して多少の誤差はありますが、通常の技法ではその誤差を考慮に入れません]

上記は手順です。訓練によって熟達を目指してください。


ベートーベン [1770年12月16日 午前11時3分 LMTドイツ・ボン生]

例としてベートーベンのホロスコープを見てみましょう。 アセンダントは水瓶座19度08分です。

月の度数は射手座16度48分で、MC(射手座12度19分)上に位置しています。SP月の動きが追いやすい配置です。

MCの支配星である木星とSP月がコンジャンクションするのは1歳半(17度数)の時です。[これをよく把握してください] 最初は1歳半、次は30歳の時(28〜29年のリターン周期に1.5年を足した年数)にSP月と木星のコンジャンクションが形成されるということです。彼の輝かしい経歴の力強い第一歩となったその年は1800年でした。MCを支配する木星は太陽と月のディスポジターになっています。1800年4月2日、ベートーベンは「彼自身のために」最初のピアノコンサートをウィーンで開催しました。

SP月がアセンダントを横切るのはいつでしょうか。月からアセンダントまでは63度(セクスタイル+3度)あるので、5年(63度÷12)と少しです。これに28年(1周期)を加えると、33歳少し過ぎ(1803年〜1804年)になります。1804年6月、ベートーベンは「交響曲第三番・英雄」を完成させました。これは彼の作曲家としての地位を確立し、音楽史の流れを永久に変えた途方もなく巨大な「主題の提示」でした。

SP月が4ハウスを横切り、MCとオポジションになる時期を見つけるのはたやすいです。月がMCにあるこのホロスコープでは、4ハウスカスプはネイタルの月とオポジションを形成しています。そこで半周期(28÷2=14)を28(最初のサイクル)に加えます。すると1812年(ベートーベン42歳)となります。この時期、彼の「不滅の恋人」への妄想的な愛情は、彼の幼少期の家庭生活に起因する神経症のために砕け散ってしまいました。

SP月が7ハウスカスプを横切り、土星とコンジャンクションするのはいつでしょうか。4ハウスカスプに到達するのは42歳です。4ハウスカスプから土星(土星は7ハウスカスプとコンジャンクションです)までが63度なので、コンジャンクションは4ハウス通過から5年後になります。ベートーベン47歳の1816年、彼は「家族に関する空想」の惑いからひどく批判的になり、精神的に不安定でした。彼の想像の中で彼は甥の父親であり、甥から「お父さん」と呼ばれることを切望していました。そしてついには、彼にとってのその「事実」を証明しに法廷に行こうと考えたのです。

セカンダリープログレッションの月回帰が約28年周期であることを常に念頭に置いてください。1ヶ月に1度、1年で12度進みます。いちど強い「ヒット」が確立すると、それ以降7年毎に1/4円周期の「ヒット」のタイミングがやってきます。[SP月の動きがトランジットの土星の1/4円周期とどのように連動するか注意しながら解釈を進めてみてください] 考え抜いてください。そして、訓練あるのみです..!

..すごい?でしょ(笑)。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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