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未来予測を組み立てる(Framing Future Projections)

Analytical Techniques, March 31, 2008


未来予測についてはっきりと表現する場面では、どんな占星家も薄氷を踏む思いがするものです。即座に「一体どうしたらいいだろう」と困惑してしまいます。未来を形成する象徴をさがす時、何かが思考回路をストップさせてしまうかのようです。私たちは怖れているのです。

私たちが孤独を感じ、自信喪失して立ち往生してしまうのは、すでに起こった出来事を忘れてしまうからです。通常、一生涯続く成長(発展)の過程は、歳月を経るうちに大小さまざまある焦点を通過します。そのひとつひとつが人生全体を構築しているものの基盤、数々の体験を拡張する「跳躍台」であるはずです。

人生の発展の現実、そして人生プランを手ほどきする私たち占星家の解釈技能は、すべて、重要な意味を持つ体験やその拡張の相互連係に基づいています。ジョージ・W・ブッシュは生まれた時からずっと、祖父と父の後を継いで政治家になるために身支度をさせられてきたわけではないでしょう。

「大人になったら、消防士かお医者さんか、宇宙飛行士になりたい!」と子供はよく口にしますね。親の支持または方向づけにより、連続的な未来は順に直面する現在となり、人生の成長(発展)が始まります。

アスリートや芸能人は、彼らの生産性や全体的印象が時間の経過や年齢により衰えた時、どのように補完的あるいは分岐的な分野を考慮し未来に備えるかに注目してください。大学中退者が、卒業証書を手にするため(プランを広げるため)いつか大学に戻る、という希望の火を灯し続けていることを知ってください。また、どれほど多くの帰還兵(男性も女性もです)が、長きにわたり戦争に従事したことで人生の発展を無残に妨げられ、どこに向かって歩めばいいのか分からず迷い、「故郷に戻って(人生を)やりなおし、周囲に追いつき、この世における自分の存在意義を見つけること」を怖れているかを知ってください。

張りつめたバスケットボールゲームを想定してください。残り時間8秒で同点、非常な緊張状態の中 タイムアウトで最後のショットの計画が立てられます。強烈に競り合ったこの試合の中で体験したことの中から、そのプランは練られます:「ホットハンド(一度シュートを決めツイている状態)」を得たのは誰でしょうか?いつでも、どんなディフェンスからも自由でいられるのは誰でしょう?どの「反則ショット記録保持者」が、反則を誘うことができるでしょう?

ここまでの説明で大体のイメージがつかめたのではないでしょうか。今から私たちは一緒に天体配置の解釈を進め、「氷」を厚くしましょう。

未来のどんな時期を、占星術は明確にするのでしょう。クライアントがあなたのところへやって来ました。よくあるような、カントリークラブ(社交クラブ)の茶飲み話用の好奇心を満たすためでなく、人生の発展上の緊張を抱えてやって来たのです。何かが起こっているのです。クライアントの人生活動のどこかの場面で、何かが変化しようとしています。

カウンセリングが進み(クライアントが自分の)未来に望むことについての多くの情報が明らかになる一方で、私たち占星家はクライアントに対し、次の非常に大切な問いかけをはっきりと確実に行なわなければなりません。「今から半年〜1年の間に、あなたはどんなことをしようと計画していますか?」−この質問は、成長(発展)に関係するクライアントの参加意識を強く刺激します。「変化」という一連の結果が棚からぼた餅のように落ちてくることはめったにありません。それは計画され、入念に準備され、状況が整えられ、(個々人に)引きつけられて初めて「獲得できるもの」です。変化は「引き起こされる」のです。

目の前のホロスコープ(時期配置のリスト)において、このような緊張が描写されていることにあなたは気づくでしょう。 「警戒」危機は今まさに発生せんとしているか、すぐそこにじわじわと迫っています。その展開がどこへ向かっているか、自問してください。どんなことが、いつ、すべての解答となり得るでしょうか。未来の時期を調査しながら、クライアントの話に耳を傾けてください。クライアントが述べるどんなことも、ごく常識的な内容を意識しながら占星術の配置と結び付けてください。

通常、カウンセリング当日から1年半〜2年先までの間(またはもっと早く)に、アークやトランジットによるアンギュラー(もしくは太陽や月)への顕著なコンタクトが起こります。(1年半〜2年という)期間は、おそらく(現在の)事態に適合するでしょう。これは非常に信頼できます[ これより長い時間予測は扱いにくいことが判明しています。なぜなら、現在と関連した焦点を失ってしまうからです]。

将来訪れるアンギュラー(または太陽や月)へのコンタクトは、変化、成就、達成後の充足、もしくは回り道の前兆です[ 外惑星との関係に注意してください:最後のアスペクト時に結論に帰するために、戦略的に3つの「ヒット」(通常、D、Rx、Dの3回起こります)を入念に準備してください]。

「時間を反対方向にたどる」
未来のポイントが見つかったら、その時点のイメージを意識しながら現在まで時間をさかのぼってみましょう。アングルへのアスペクトの起こる時期(2〜3ヶ月の範囲で考えてもよいでしょう)をクライアントが到達したい「流れの向こう岸」だとイメージしてください。未来から現在へとさかのぼりながら、強力なトランジットや、他の顕著な時期表示から「踏み石」を決め、「流れの向こう岸」まで小路を作ります。そして「現在」までたどりついたら、再度前方に向き直って見てください。そこに、クライアントが進みたいと望む(もしくは進むと決めた)「発展の道」を見ることでしょう。−もちろん、カウンセリング前のホロスコープ準備段階で、最も適切な2年間の時期表示に注意を払い、入念に分析しておく必要はあります。このような時間的構造があらかじめ準備されていれば、カウンセリングにおける議論は徐々に、この時間構造に意味をもたらすのです[著書「 Solar Arcs」の中の『Time Flow』(122頁〜131頁)をぜひ参照ください]。

ある紳士が私に会いに来ました。彼はここ1年ほど体調がすぐれず惨めだということでした。彼の人生の発展について、私たちは話し合いました。最近を除いては、彼の人生はあらゆる面で「勝ち組」だったそうです。彼は、自身の業績記録や自信その他、彼の獅子座の月(の示すもの)をひどく荒廃させた一連の仕事上の冷遇に苦しんでいました。

いくつかの新しい方向性の観点から自身を再定義し、「新しいスタート」を切る可能性が非常に高い SP月=4室-10室カスプ軸 の配置を、彼は10ヶ月先に迎えます。そして、その「時」への道程の途中には、他の時期表示により出会いとコミュニケーションが明示されていました。「(成功するための)本題に戻り」苦境から抜け出すべく彼に開示された選択肢について私たちは話し合いました。それは容易で生産的な議論でした。その天体配置は、苦痛と失意の終結を示す喜ばしい合図でした。

私はシンプルにこう言いました。「これから10ヶ月の間に、すべてがはっきりと見えてくると思います。あなたの人生の新しい方向性は、劇的に活気づくでしょう。おめでとうございます!では、現在からその時期へのステップを見てみましょう」−未来に形成される天体配置は、現実の情況において「評価」されました。あらゆる SP月=4ハウスは 同じ表れ方を示すわけではありませんが、この男性の情況下でなぜそれが可能だったのか、読者のみなさんには理解することができるでしょう。

10ヶ月以内に本当に、この男性は再婚を決め、職業の方向を変え、住まいを移し、新たな旗揚げをしたのです。..すごいことです!

60歳の彼は、最近引退したばかりです。快適に暮らし、健康そのものです。カウンセリング当日から18ヶ月後、顕著で明瞭な配置を含む8ハウスを支配するN太陽とT土星がコンジャンクションし、彼のASCにスクエアになりました。彼の出生図では、8ハウスの共同支配星である月が4ハウス(母親)にあり、海王星とオポジションを形成しています。

さて、この時点での彼の母親の年齢はいくつだと思いますか? −80歳代半ばです。

「あなたのホロスコープには、母親との間の、生涯続く困難な情勢(展開)が示されています(N太陽はノード軸とクインデチレでもあります)。今お母様の健康状態はいかがですか?お母様とあなたの間に漂う「空気」はどんなものですか?」

彼女(母親)が非常に病んでいることはチャートから見て取れると思います。この認識を、8ハウス支配のN太陽とT土星のコンジャンクション、という天体配置の指標まで広げるのは不合理なことではありません。「彼女の健康問題は、1年半ほどで厳しい状況になるでしょう。」−「ええ。おそらくそうだろうと思います。」

「準備はできていますか? 修復しなければならない垣根はありますか?その時の地所管理についてはいかがですか?」などなど。

繰り返します。未来の天体配置を解釈するにあたっては、それが過去の重要な事象から展開していることを踏まえる必要があります。

*** これらの例において、過去の展開曲線(軌跡)についての理解なしには、未来に向けて新しい展開を組み立てることはできなかったでしょう。過去と未来を連結させることにより、カウンセリングでは「現在(の情況)」を過去や未来へと展開させました。そこには明快さや意義が表出しました。そして(何より)クライアントは詳細を提供してくれました。

クライアントの未来予測において、このような認識の仕方を活用してください。過去に何があり、現在何が可能かという観点で解釈を進め、特にクライアントに積極的に参加してもらいながら焦点を絞ってください。これはあなたの仕事をより容易に、そしてこれまでよりずっと生産的なものにするでしょう。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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