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太陽と月のブレンド

Tyl HP Analytical Techniques 1999 Aug 21


太陽についてはよく話題になります。「あなたの太陽はどこにありますか?」「あなたは何座?」「太陽に関してもう目新しいことはない」などなど。最初の質問に対する真の答えは「どんなところにもあるよ」です。実際、太陽は太陽系全体に光を放射し、その光は生命体全体に浸透しています。太陽は存在のエネルギーそのものと言えます。私たちは光に照らされたものや、光によって形、大きさ、色、存在が与えられたものしか見ることができません。

太陽を直接見ると、目が眩んだり目を傷めてしまうこともあります。私たちはすべてのエネルギーを取り込むことはできないのです。今月始めに起こった日蝕(1999.08.11)についてのやや過熱気味な報道の中では、目を守ることを繰り返し注意されました。端的に言えば、太陽は偉大で強力で重要ですが、直接には安全に扱うことのできないものです。月や太陽系の各惑星によって反映された物事を通してのみ、私たちは太陽のエネルギーを認識することができます。

月はなぜ重要なのでしょうか。地球の周りを回っている月は、私的な地球の概念です。先の日蝕でもまた、私たちは距離と質量に関する劇的な奇跡を見ることができました。距離の違いによって、近い小さな月は遠い巨大な太陽を完全に覆い隠しました。視覚的にはそれら2つの大きさは全く同じなのです!

私たちは月に反射した太陽の光を見ています。当たり前ですが、深遠な事実です。

太陽を生命のエネルギーと考えることができます。占星家なら誰でも、魚座や山羊座、獅子座、双子座などの各サインに位置する太陽のアーキタイプ的な本質を的確にとらえた言葉やフレーズを提供することができるでしょう。しかし太陽の光はあまりに強く、そのエネルギーはあまりに巨大で、私たちはそれを何か別のものによる反映から認識するしかありません。ホロスコープにおいては、それは月による反映です。

20年程前、著書「ホリスティック占星術」において私は心理学的な欲求理論を占星術の象徴体系に類属させ(のちに「シンセシス&カウンセリング占星術」で内容を更新しました)、月は人格における「統括的欲求」を表すと提唱しました。このアーキタイプは、太陽のエネルギーを利用して私自身の存在の欲求を焦点化したものでした。

私の太陽は山羊座にありますが、山羊座の太陽と聞けば管理力の強さや、物事を最後までやり遂げるエネルギーなどを皆さんは感じるでしょう。そのエネルギーが私の人格の統括的欲求、つまり獅子座の月(太陽の光が強力に反射する場所)を通して焦点化されるとき、山羊座のエネルギーは賞賛や舞台の中央のポジションを要求します。私たちの欲求は充実や成長に向けて邁進する中で現象化しますから、「パワフルな」山羊座の太陽と「輝かしい」獅子座の月のもとでどんな行動パターンが形成されるか、皆さんにはお分かりでしょう。

太陽へのアスペクト(私の場合、太陽は増加や拡大を表す木星と7ハウスでコンジャンクションしており、太陽のエネルギーは公の舞台で強力に表現されます)は、例えば配管にねじれがないか、ボイラー(太陽)のそばに目詰まりした管がないかなどを教えてくれます。月へのアスペクトは、統括的欲求を満たそうとする行動過程においてどんな修正が加えられるかを推測させます。

人生の充実を目指して進む太陽のエネルギーの月による焦点化を「太陽と月のブレンド」と捉えて理解することにより、人生の物語を語り始めることができるでしょう。皆さんは自身の「太陽と月のブレンド」を人生全体、ホロスコープ全体を通して感じることができるはずです。

太陽が獅子座、月が山羊座の場合はどうでしょうか。この組み合わせでは、事を起こしたい欲求(山羊座の月)に、自我を認識させる強力なエネルギーが注がれています。「有言実行」のイメージです。元中央軍司令官・陸軍大将ノーマン・シュワルツコフには「寄り道している暇はない」のです。彼のエネルギー系統の特徴を見ると、土星は太陽とオポジションになっており(すなわち逆行しています。土星逆行の意味するところはお分かりかと思います)月は火星-冥王星とオポジションになっています。このような人に自分の軍隊を任せたいとは思いませんか? おそらく誰でもそう思うに違いありません。

獅子座の太陽と牡羊座の月(1番になりたい欲求)は、まさにジャッキー・ケネディー・オナシスの特徴そのものです。

144通りもの「太陽と月のブレンド」がありますが、「シンセシス&カウンセリング占星術」の中で述べたコツを活用すれば、おそらく15分程度で全ての組み合わせについて覚えてしまい、2度と忘れることはないでしょう。このブレンドはホロスコープの核となり、この核のもとに半球の強調や重要なアスペクトなどが働きます。

それが把握できると、決まった考え方をする水星、決まった対人関係のパターンを作る金星、物事を最も効率的に動かすため決まったやり方でエネルギーを開放する火星など、「統括的欲求」を満たすための各天体の欲求についてもスムーズに理解できるでしょう。

天体自体は何も行いません。欲求を充足する過程で個々人が物事を作っていくのです。太陽はエネルギーを特定の方法で供給し、月は存在の潜在的な可能性を抱えながら周囲と関わっていくのです。

(訳:石塚隆一 校正:石塚三幸)


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