2016/5/21 哲学の重要性とコンサルテーションスタイル 第32号

▼ノエル・ティルJAPANニュースレター


2016/5/21  哲学の重要性とコンサルテーションスタイル  第32号


みなさま、こんにちは!
ノエル・ティルJAPANの石塚隆一です。

先日、スートンプキンス先生の来日セミナーに参加してきました。海外のセミナーに参加するには旅費がかかってしまうので日本で受けられるのはとても貴重です。占星術について深くたくさん学ぶことができ、素晴らしい機会になりました!

そこで、今回のニュースレターでは、石塚がスートンプキンス先生のセミナーに参加して改めて再認識した占星術の実践における「哲学」の重要性についてお話していきます!


▼哲学の重要性とコンサルテーションスタイル   石塚隆一


スートンプキンス先生は、1989年に「Aspects in Astrology」という本を書き、アスペクトの象徴のイメージを実践的に深めることに大きく貢献しました。それぞれの天体同士の組み合わせに関するクックブック的な解釈の中には心理的な理解がふんだんに盛り込まれ、実際のコンサルテーションで応用しやすいものが満載です。また、よくあるアスペクトの種類毎の解釈(火星と金星のクインカンクスの人は…)というかたちではなく、天体の組み合わせ毎のテーマとして理解を深めているところも心理占星術に応用しやすいポイントです。クックブックセクションでは、ハードアスペクト/ソフトアスペクトという区別もないのです(本の中にはそれぞれのアスペクトの種類に関する一般的な説明は円の分割という視点からしっかり語られています)。

スートンプキンス先生は、マウンテンアストロロジャーの2013年6・7月号の記事「Dynamics of the Consultation Process: The Persecutor-Victim-Rescuer Triangle」の中で、交流分析の概念と占星術の象徴を関連した記事を書いています。これは、ニュースレターの28号で触れた占星術とさまざまな心理療法やセルフヘルプのアプローチを関連づける努力のとてもよい例だと思います。優れた占星家の先生方は、このような努力を常に続けているのだと実感します。

さて、そんなスートンプキンス先生ですが、今回の講義の中で「運命と自由意志」に関連してとても興味深いポイントをお話ししていました。確かに、この点はいつも多くの占星家の間で議論の対象となります。読者のみなさんはこのテーマについて普段どのようにアプローチしていますか。私はどちらかというと「運命は決まっていない」ということを強調したい人間なので、私自身はどんなことについても「さまざまな可能性をみつけること」を一番に意識しています。ホロスコープを動かす大きな2つの光である太陽と月、月の方は過去を繰り返す原理ですが、太陽は全く新しい未来を創り出す力、つまり、「少なくとも運命の半分はまだ決まっていない」と考えるわけです。

運命と自由意志の話題になるとスートンプキンス先生は、できごとの価値づけや意味は捉え方により大きく変わり得るという話をしながらも、集団的なテーマについては占星家は予測すべきだし、しっかり予測する力を身につけるべきだと話しました。しかし、反対に、個人の責任で結果の変化するものごとについては、本人の意思決定の力を殺いでしまうので予測を行なうべきではない、と強調しました。もちろん、決断をサポートするためにさまざまな可能性をホロスコープから考えていくことはとてもよいポイントです。しかし、相談者の代わりにものごとを決めることはするべきではないということ。したがって、占星術のセッションでは、大半が過去の出来事に関するその人にとっての意味や意義を整理しなおすことに費やすということでした。

例えば、上司とトラブルになっているが仕事を辞めるべきか、という相談についてホロスコープを見ながら、「同じような気持ちを両親との関係の中で感じたことがあるのではないか」と話を深めていくそうです。異なる光を当てることによって、異なる視点から検討していくことによって、相談者がこれまでできにくかった決断をしていく力をつけることができるということです。

このような話を聴きながら、スートンプキンス先生は占星術を使って人々にどのように役に立つことができるかという「哲学」をとてもしっかり考え抜き、セッションをされているのだなと頼もしく感じました。人間について、人生について、しっかり理解を深めていくことの重要性を改めて認識しました。

今回の来日セミナーを主催された咲耶まゆみさんは、イギリスの占星術スクールFAS(Faculty of Astrological Studies)を卒業され、これまでにフランククリフォード先生やブライアンクラーク先生など著名な占星家の来日セミナーを実現しています。さらに、今年の11月18日 – 20日には再度ブライアンクラーク先生の来日講座を企画しているとのこと。今回は鏡リュウジ先生とブライアンクラーク先生のトークも企画されているようなのでとても期待できます。


▼ノエル・ティルJAPANニュースレター


▽本日の【ノエル・ティルJAPANニュースレター】はいかがでしたか。

・ノエルティル来日セミナーの詳細とお申込みはこちら:

 http://www.chiron-school.com/posts/news2.html

 ノエルティル個人セッションもぜひご利用ください。

・7月末にカイロン大阪教室にて来日セミナー予習勉強会を企画中です。詳しくは次回のニュースレターでお知らせできると思います。

・心理占星術WEBサイト

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皆さんにとって、素敵な1ヶ月になりますように。次回もご期待ください。

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