2014/02/07 翻訳現場を覗いてみましょう! 第3号

▼ノエル・ティルJAPANニュースレター


2014/02/07 翻訳現場を覗いてみましょう! 第3号


こんにちは、ノエルティルJAPANのユピテルジョージです。

いよいよ2月になりましたね。皆さんいかがお過ごしでしょうか。

私たちノエルティルJAPANは、9月の来日講座に向けて、今月から、様々な準備をスタートしていきます。4回目となる今回からは、占いコンテンツを扱う会社テレシスネットワーク社のご協力のもと、新たな形で展開していきます。

日程はこれまでと同様9半ばの連休を利用して行いますが、場所はお台場が候補地に上がっています。具体的に決定次第、ご予約受付を開始したいと思いますのでぜひご期待ください。

そして、前回お届けしたニューヨークからのプレミアムインタビューはご覧いただけましたでしょうか。

ノエル・ティル先生、そして通訳の新里ひろき先生に、私ユピテルジョージが、今年の来日セミナーのテーマである「クリエイティブアストロロージャー」について、お聞きしています。

【プレミアムインタビュー vol.01】クリエイティブアストロロージャーとは?
▼インタビューの視聴はこちらから

そして、今回第2回目のインタビューがリリースしました。
今回は、従来の古い占星術と、ノエルティル式心理占星術の違いについて、質問しています。
ノエル・ティル式の心理占星術は、何が特別か、そして、人間に対するどのような洞察に基づいているかを、分かりやすく学ぶことができます。

【プレミアムインタビュー vol.02】従来の占星術と、新しいノエルティル式心理占星術の違いについて

▼インタビューの視聴はこちらから

今回も、とても密度の濃い内容になっていますので、どうぞお楽しみください。

そして今日は、今年発刊予定のノエル・ティル著「The Creative Astrologer」の翻訳本について、石塚隆一先生からとても面白いエピソードが届いています。占星術の洋書がどのように翻訳されていくか、皆さんも気になりますよね。その現場を覗いてみましょう。

ユピテルジョージ


★【コラム】翻訳作業報告・ノエルティル先生の独特な言い回し 石塚隆一


皆さんこんにちは、石塚隆一です。

今回のニュースレターは、ノエルティル先生の著書「The Creative Astrologer(クリエイティブな占星家、邦題未定)」の翻訳を進めながら感じたことをお伝えしていこうと思います。

現在、翻訳は下訳が完成し、出版へ向けて文を読みやすく整えていく作業を進めております。この校正作業、なかなか大変な過程です。英語は同じ文でもいろいろなかたちで日本語に訳すことができ、特にノエルティル先生は詩人のような言葉の使い方をすることがよくあるので工夫が必要です。同じフレーズでも、文脈や視点を変えるとさまざまな意味に捉えることができるのです。

日本語訳前作の「コンサルテーションの世界」でも苦心をしました。必ずしも「正解」かどうかわかりませんが、さまざまな文脈で出てきたときにも通じるような訳語を見つけるよう心がけております。

例えば、月の象徴を語る際にとても頻繁に出てくる「reigning need」という言葉。「reign」という単語は支配する、君臨する、統治するなどの意味があるので、だいぶ以前私が資料のために個人的に訳していた際には、君臨する欲求、支配的欲求などの言葉を使っていました。しかし、「コンサルテーションの世界」の翻訳時、改めてよい訳語を探してみました。その際、ノエルティル先生の説では、ホロスコープ上の天体はさまざまな次元の「欲求」を表し、月はそれら全体を統括し充足を深めていく中心になる天体だと考えていることを重視し、「統括的欲求」と呼ぶのがわかりやすいのではないかという結論になりました。

確かに、君臨する欲求、支配的欲求などと訳しても間違いではないでしょう。また、統括的欲求と言ったところですぐに言わんとしているイメージが伝わるわけではありませんが、いろいろな側面を検討しながらなるべくわかりやすい言葉を選んでいます。

また、ノエルティル先生は象徴を形容する際も独特な言い回しを多用します。例えば、ノーアスペクト(ノーアスペクトの天体自体、ティル先生は「ペレグリン」という古典の用語を独特に当てはめて使っています)の天体のイメージを形容する際に、決まり文句として「run away with the horoscope」というフレーズを使います。「run away」というと逃げるという意味ですが、もしホロスコープから飛び出して一人だけで逃げていくなら通常「run away from the horoscope」となります。
しかし、ティル先生のフレーズは「with the horoscope」となっていて、ホロスコープを持ち逃げする、つまり、ホロスコープ全体を抱えて暴走する様子を語っているのでしょう。

今回の「The Creative Astrologer」を訳している際にもこのようなさまざまな独特な表現をわかりやすく訳す工夫が必要になっています。「The Creative Astrologer」では、「projection」という言葉が何度も出てきます。この言葉は、「project」という「投射する、印象を与える、予測する、提案する」などの意味の動詞から派生しているのですが、さまざまなニュアンスがあります。
心理学では、この「projection」という言葉は、自分の心の中にある要素を他人に重ねながら認識する「投影」という概念に対応する言葉です。しかし、「The Creative Astrologer」の中では、自分の中にある動機を未来へ向けて投射していくという文脈でよく使われます。この場合、計画を立てる、予測するなどの意味で使っているのでしょう。

このような点についてどうしたらよいかと考えながら参加した1月のニューアークセミナーでは、ちょうどその部分テーマを扱っていました。前回の記事でご紹介した「現在という概念の拡張」という講義の中で、「projection(予測)」と「prediction(予言)」の概念の違いを扱っていました。さらに、理想的な占星術では「prediction」を「projection」として行なっていく必要があるという考え方を講義していたのです。

説明の中で、「projection(予測)」はそれまでの経験を延長して未来を予測することとして説明していました。つまり、ある会社でこれまでに実績をこれだけ積み上げてきたのだからその流れでいくと2年後には課長に昇進し、5年後に部長に昇進し…といった予測です。
それに対し、「prediction(予言)」というのは主に経験の延長ではない変化について予測することがポイントです。つまり、経験の流れに対して一見異なる方向へ突然にやってくる変化を予見するということです。

占星術をうまく活かすと、そのような「prediction」を行うことができるというのです。しかし、ノエルティル先生はそのような変化も「以前の同じような象徴に対する反応を追跡し考慮に入れることによりprojectionのように経験の積み重ねとして予測を組んでいくことができる」という考え方を提示しました。

まさに、このようなテーマは「The Creative Astrologer」の中でも考察が進められています。これらの概念も参考に、最終的に読みやすく理解しやすい文章を作れるよう懸命に作業を進めております。来日セミナーに間に合わせるべく、今年の夏頃にはみなさまのお手元に届けられるよう頑張っておりますので、ぜひご期待ください。

石塚隆一


★編集後記


今回は、ティル先生のプレミアムインタビュー、そして、新しい書籍「The Creative Astrologer」の翻訳現場からのレポートを楽しんでいただけましたでしょうか。
プレミアムインタビューはもちろんのこと、今回の翻訳のコラム(projectionとprediction)からも、ノエルティル式占星術の持つ、世界観の広がりと奥深さを感じますね。

我々ノエルティルJAPANも、毎回ティル式占星術を学ぶ度に、新しい発見と気付きを手に入れています。

次回は、いよいよプレミアムインタビューの最終回。次回も非常に密度の濃い内容です。どうぞお楽しみに。

ユピテルジョージ


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▽本日の【ノエル・ティルJAPANニュースレター】はいかがでしたか。皆さんにとって、素敵な2週間になりますように。次回もご期待ください。

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